ヴェロニカ・カールソン(Veronica Carlson)はイギリスの女優・モデルで、1960年代後半のハマー・ホラー映画で知られる。代表作に『ドラキュラ 復活の日』、『フランケンシュタインの復活』など。1970年代に入り、業界ではヌードシーンが増加する中、厳格な育ちからこれを拒否したため、徐々に役柄が減少。
プロフィール
- 名前:ヴェロニカ・カールソン(Veronica Carlson)
- 生年月日:1944年9月18日
- 出生地:イングランド、ウェスト・ライディング・オブ・ヨークシャー州エムリー
- 没年月日:2022年2月27日(享年77歳)
- 死没地:アメリカ合衆国サウスカロライナ州ブラフトン
- 職業:女優、モデル
- 配偶者Sidney Love(1974年~2016年没)
- 子供:3人
生い立ち・教育
ヴェロニカ・カールソンは、1944年9月18日にイングランドのヨークシャー、ウェスト・ライディングのエムリーで、ヴェロニカ・メアリー・グレイジャー(Veronica Mary Glazier)として生まれました。父親のウィリアム・グレイジャーはイギリス空軍(RAF)の将校で、母親のエディス・アラットは家事使用人でした。幼少期の大部分を、父親の駐屯地である西ドイツで過ごしました。この時期は、彼女の国際的な視野を広げる機会となったでしょう。
教育面では、まずテットフォード・ガールズ・スクールに通いました。次に、レディ・ヴァーニー高等学校(Lady Verney High School)で学びました。これらの学校は、彼女の基礎的な学力を養う場となりました。高校卒業後、ハイ・ワイコーム・カレッジ・オブ・アート・アンド・テクノロジー(High Wycombe College of Art and Technology)に入学し、美術を専攻しました。この期間中、彼女はカレッジのレビューやオペレッタに参加し、演劇的な才能を早くから発揮していました。美術の勉強は、後の彼女のキャリアや私生活での創作活動に影響を与えました。厳格な家庭環境で育ったため、道徳的な価値観が強く形成され、後の選択に反映されることとなります。
幼少期のドイツ滞在は、英語以外の言語や文化に触れる機会を提供し、彼女の適応力を高めました。家族の移動生活は、安定した環境とは異なりましたが、彼女の柔軟性を育てました。教育を通じて、芸術と演技への興味が芽生え、モデル業への道を開きました。全体として、彼女の生い立ちは、軍人家庭の厳しさと芸術的教育のバランスが特徴的です。この基盤が、華やかなエンターテイメント業界への入り口を支えました。
経歴
ヴェロニカ・カールソンの経歴は、モデルから女優への移行が特徴的。20代半ばにモデルとして活動を始め、1967年に映画デビューを果たしました。最初は小さな役柄からスタートし、徐々に注目を集めました。彼女のブレイクは、ハマー・フィルムズとの出会いです。プロデューサーのジェームズ・カララスが、新聞のビキニ姿の写真を見てスカウトし、1968年の『ドラキュラ 復活の日』でマリア役を演じました。この作品で、クリストファー・リー演じるドラキュラの犠牲者として、魅力的な演技を披露しました。
その成功を受け、1969年の『フランケンシュタインの復活』でアンナ・シュペングラー役を務め、ピーター・カッシングの狂気の科学者と対峙する役柄で評価されました。監督のテリー・フィッシャーは、彼女の自信を尊重し、シーン解釈を相談するほど信頼を寄せました。1970年には『フランケンシュタインの恐怖』でエリザベス・ハイス役を演じ、デイビッド・プロウズの怪物に追われるヒロインとして活躍しました。これらのハマー・ホラー作品は、彼女を「スクリーク・クイーン」として定着させました。
映画以外では、TV番組にも出演しました。1969年の『ザ・セイント』でヴァネッサ・ロングマン役、『デパートメントS』でジナ役を演じました。また、『ランダルとホプカーク(亡霊)』のエピソードにも登場しました。1972年には、TVスリラー番組『スパイダーズ・ウェブ』でウォリス・アクロイド役をメインキャストとして全13エピソードに出演し、アンソニー・エインリーやロジャー・ロイド・パックと共演しました。この時期は、彼女の多忙なキャリアのピークでした。
しかし、1970年代に入り、業界の変化が訪れました。ヌードシーンが増加する中、厳格な育ちからこれを拒否したため、徐々に役柄が減りました。1974年に結婚し、アメリカに移住した後、セミリタイア状態となりました。1975年の『グール』でダフネ役を最後に、本格的な活動を中断しました。その後、1994年の『ブラック・イースター』で精神科医役、1995年の『フリークショー』でグレイス・ハームズワース役として復帰しました。2016年の『ステラー・クワサー・アンド・ザ・スクロールズ・オブ・ダデリア』ではサヤング役、2019年の『ハウス・オブ・ザ・ゴーゴン』でアンナ・バニング役を演じました。また、2021年の短編『ナイト・オブ・ザ・デビル』に出演し、TBAの『ザ・レクタリー』でレディ・ホワイトハウス役を予定していました。
リタイア後は、プロの画家として活動し、自身のギャラリーをフロリダで運営しました。ホラー映画ファンとの交流を続け、コンベンションに出席しました。2019年には、ロン・ハットン・クラシック・ホラー・アワードのモンスター・キッド殿堂入りし、功績を認められました。2022年2月27日、サウスカロライナ州ブラフトンで自然死により77歳で亡くなりました。彼女の経歴は、短いながらもインパクトのある輝きを放ち、ハマー・ホラーの象徴となりました。
私生活
ヴェロニカ・カールソンの私生活は、キャリアの華やかさとは対照的に、家族中心で穏やかなものでした。1974年にシドニー・ラブ(Sidney Love)と結婚しました。彼はアメリカ人で、この結婚を機にイギリスからアメリカ合衆国へ移住しました。夫の死は2016年で、それ以降も南カロライナ州ブラフトンで静かに暮らしました。二人の間には3人の子供が生まれ、家族は彼女の人生の支えとなりました。子供たちの名前や詳細は公にされていませんが、彼女は母親としての役割を大切にしていました。
厳格な家庭で育った影響から、ヌードや過度な露出を避ける選択をし、それがキャリアの転機となりました。アメリカ移住後、演技業を離れ、美術の道を選びました。フロリダでアート・ギャラリーを開き、自身の絵画を展示・販売しました。この創作活動は、彼女の教育背景を活かしたもので、ホラー映画の経験をモチーフにした作品も手掛けました。私生活では、プライバシーを重視し、メディア露出を控えめにしていました。
晩年は、ホラーファンとの交流を楽しみにし、コンベンションでファンサービスを続けました。友人や家族からの証言では、温かく親しみやすい性格で知られていました。2022年の逝去は、公式Facebookページで発表され、多くのファンから追悼の声が寄せられました。彼女の私生活は、プロフェッショナルな顔とは別に、家庭的な幸福を追求したものでした。
出演作品
- Casino Royale(1967年、uncredited、Tall Blonde)
- The Magnificent Two(1967年、uncredited、Revolutionary)
- Smashing Time(1967年、Movie Actress at Premiere)
- Hammerhead(1968年、Ulla)
- Dracula Has Risen from the Grave(1968年、Maria)
- ITV Playhouse(1968年、Sally、”The Photographer,” S1E18)
- Frankenstein Must Be Destroyed(1969年、Anna Spengler)
- The Best House in London(1969年、uncredited、Lily)
- Crossplot(1969年、Dinah)
- The Saint(1969年、Vanessa Longman、”The Man Who Gambled with Life,” S6E18)
- Department S(1969年、Gina、”The Double Death of Charlie Crippen,” S2E20)
- Randall and Hopkirk(Deceased)(1969年、Suzanne年、”The Ghost Who Saved the Bank of Monte Carlo,” S1E11)
- Pussycat, Pussycat, I Love You(1970年、Liz)
- The Horror of Frankenstein(1970年、Elizabeth Heiss)
- Hine(1971年、Amanda、”Everything I Am I Owe,” S1EP12)
- Spyder’s Web(1972年、Wallis Ackroyd、main role、all 13 episodes)
- Vampira(1974年、Ritva)
- Public Eye(1975年、Ingrid Borg、”Hard Times,” S7E7)
- The Ghoul(1975年、Daphne)
- Black Easter(1994年、Psychiatrist)
- Freakshow(1995年、Grace Harmsworth)
- Stellar Quasar and the Scrolls of Dadelia(2016年、Sayang)
- House of the Gorgon(2019年、Anna Banning)
- Night of the Devil(2021年、short film)
- The Rectory(TBA、Lady Whitehouse)



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