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京化粧

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『京化粧』は芸妓の複雑な人間関係と恋愛を描いた作品。祇園の芸妓園は、旦那の田中と愛人三野村の間で悩みながら、東京から来た翻訳家の山岡に惹かれる。山岡は園を東京へ連れ出す約束をするが、園の生活は複雑で、大原との関係も進展。山本富士子、岩下志麻らが出演。

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基本情報

  • 原題:京化粧
  • 公開年:1961年
  • 製作国・地域:日本
  • 上映時間:96分

女優の活躍

本作『京化粧』では、山本富士子が主人公の芸妓・園役を演じています。彼女は祇園の芸妓として、旦那や愛人との間で揺れる複雑な心情を、繊細に表現しています。山本富士子は、苦悩する表情や、恋に落ちる喜び、家族への思いやりを、静かな演技で体現し、観客の心を強く引きつけました。特に、弟の死による喪失感や、未来への希望を求める姿は、彼女の演技力の高さを示しています。岩下志麻は、園の朋輩である小菊役で登場します。彼女は園を支える存在として、明るくも現実的な態度を演じ、物語に深みを加えています。岩下志麻の若々しい魅力と、芸妓としての洗練された振る舞いが、作品の雰囲気を豊かにしています。また、山田百合子は山岡の妹・麗子役で、兄の恋を心配する純粋な女性を自然に演じ、感情的なシーンで存在感を発揮しました。浪花千栄子は園の母・たか役を務め、娘の生活を案じる母親の苦労を、力強い演技で描きました。清川虹子は女将・つや役で、芸妓園の現実を象徴するような、冷静で現実的な人物像を体現しています。これらの女優たちは、松竹の伝統的なメロドラマスタイルを継承し、女性の内面的な葛藤を丁寧に表現することで、作品の情感を高めています。全体として、女優たちの活躍が本作の魅力の中心であり、1961年の日本映画界における女性像の多様性を示す好例です。

女優の衣装・化粧・髪型

『京化粧』は祇園の芸妓を舞台としているため、女優たちの衣装は伝統的な京文化を反映した華やかなものが中心です。山本富士子演じる園の衣装は、色鮮やかな着物が主で、特に舞妓から芸妓への移行を表すように、淡いピンクや青系の地味めな色合いから、深みのある赤や緑の豪華な振袖へ変化します。これらの着物は、絹の光沢が美しく、祇園の夜の雰囲気を演出しています。化粧については、白粉を厚く塗った京化粧が特徴で、眉を細く描き、唇を小さく赤く染めるスタイルです。山本富士子の場合、悲しみのシーンでは化粧が少し崩れ、人生の苦労を象徴的に表しています。髪型は、祇園芸妓特有の島田髷を基調とし、飾り簪を挿した優雅なアップスタイルです。岩下志麻演じる小菊は、より若々しく、髪を少し緩めにまとめ、初心な印象を与えます。山田百合子の麗子は、東京の女性らしく、モダンなウェーブヘアで、化粧も薄く自然です。浪花千栄子の母役は、庶民的な着物とシンプルな髪型で、日常の厳しさを表現。清川虹子のつやは、女将らしい落ち着いた着物と、きっちりした髷で、権威を表しています。これらの衣装・化粧・髪型は、当時の京都の風俗を忠実に再現し、女優たちの美しさを引き立て、物語の時代感を強めています。衣装デザイナーの工夫により、芸妓の華やかさと内面的な影が視覚的に融合しています。

あらすじ

『京化粧』の物語は、京都の祇園を舞台に、芸妓の園を中心に展開します。園には、旦那である田中と、絵を勉強する愛人・三野村がおり、彼女の生活は複雑です。ある日、旅館で三野村のモデルをしているところに田中が現れ、嫉妬からトラブルが発生。園は慌てて一室に逃げ込みますが、そこには東京から遊びに来た翻訳家の山岡がいました。山岡は園の美しさに心を奪われ、数日後、八坂神社からの帰り道で再会します。園は朋輩の小菊や吉弥らと一緒でしたが、山岡に京都の見物を案内することを申し出ます。

案内中、山岡は園の身の上話を聞きます。園は弟を学校へ行かせるために芸妓になりましたが、弟の死により生きる意味を見失っていました。山岡はこの話に同情し、それが恋に変わります。「必ず金を稼いで東京へ連れて行く」と約束し、東京へ帰ります。以後、山岡は園に度々金を送り続けますが、友人伊村や、伊村の婚約者で山岡の妹である麗子は、この関係を不安視します。一方、園は旦那の田中に寝込まれ、三野村に金銭をせびられ、母のたかからは「早く楽にしてくれ」と迫られ、苦悩の毎日を送ります。

半年後、都を踊りの季節に山岡が再び京都を訪れます。しかし、二人の間には微妙な溝が生じ、山岡は園に努力を求めます。そんな折、大阪の鉄問屋の若主人大原が、支配人の田村を伴って祇園を訪れます。大原は旦那を失った園に目を付け、関係を迫ります。三野村が交通事故で死亡しますが、園は涙を流せませんでした。園が病床に伏せる間に、女将のつやと母の間で、大原との縁談が進みます。園は芸妓としての生活の重圧と、山岡への想いの間で揺れ続けます。

物語は、園の選択と人間関係の複雑さを描き、祇園の華やかな表層の下にある、女性の孤独と葛藤を深く掘り下げます。最終的に、園は自らの運命を受け入れつつ、新たな道を模索する姿で締めくくられます。このあらすじは、伝統と現代の狭間で生きる芸妓の人生を、情感豊かに語っています。

解説

『京化粧』は、1961年に松竹が製作した現代劇で、監督の大庭秀雄が手がけた作品です。原作は近松秋江の小説で、京都の祇園を舞台に、芸妓の複雑な人間関係と内面的な葛藤を描いています。この時代、松竹は「女優王国」と称されるほど、女性中心のメロドラマを得意としており、本作もその系譜に連なります。主人公の園を通じて、伝統的な芸妓文化の美しさと、現代社会の影響による女性の苦悩を対比的に表現しています。

監督の大庭秀雄氏は、戦前から活躍するベテランで、脚本も自ら一部を担当し、細やかな心理描写にこだわりました。祇園の風情を背景に、恋愛、家族、経済的なプレッシャーを織り交ぜ、単なる恋愛物語ではなく、社会的なテーマを内包しています。例えば、園の弟の死は、戦後の貧困と喪失を象徴し、山岡との関係は、伝統と近代化の衝突を示します。また、三野村や大原などの男性キャラクターは、芸妓を「所有」する視点を描き、女性の主体性を問いかけます。

女優陣の演技も見どころで、山本富士子の抑制された表現は、芸妓のプロフェッショナリズムを体現。岩下志麻の若々しい役柄は、未来への希望を表します。撮影は石本秀雄が担当し、京都の美しい風景をモノクロで詩情豊かに捉えています。音楽の池田正義による和風の旋律は、情感を高めます。本作は、当時の日本映画の黄金期を反映し、女性の生き方をテーマに、普遍的な人間ドラマを提供します。批評家からは、京文化のロマンティシズムとリアリズムのバランスが評価され、松竹の伝統を継ぐ佳作として位置づけられています。今日でも、ジェンダーや伝統のテーマとして、再評価の価値があります。

キャスト

  • 山本富士子:園
  • 岩下志麻:小菊
  • 佐田啓二:山岡
  • 川津祐介:三野村
  • 千之赫子:吉弥
  • 山田百合子:麗子
  • 浪花千栄子:たか
  • 清川虹子:つや
  • 藤山寛美:田村
  • 三島雅夫:田中
  • 内田朝雄:大原
  • 伊村:友人役

スタッフ

  • 原作:近松秋江
  • 監督:大庭秀雄
  • 脚本:斎藤良輔、大庭秀雄
  • 撮影:石本秀雄
  • 美術:芳野尹孝
  • 音楽:池田正義
  • 録音:紅井睦夫
  • 照明:財部征四郎
  • 編集:浜村彰
  • 製作:松竹
  • 配給:松竹
劇場映画
なむ

洋画好き(字幕派)。だいたいU-NEXTかNetflixで、妻と2匹の猫と一緒にサスペンスやスリラーを観ています。詳細は名前をクリックしてください。猫ブログ「碧眼のルル」も運営。

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