ブライス・ダナー(Blythe Danner)は1943年フィラデルフィア生まれの米国女優。トニー賞、エミー賞2回受賞。ブロードウェイから映画・TVで活躍。女優グウィネス・パルトローの母。環境・医療活動家。
プロフィール
- 名前:ブライス・ダナー(Blythe Danner)
- 生年月日:1943年2月3日(82歳)
- 出生地:アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア
- 国籍:アメリカ合衆国
- 配偶者:ブルース・パルトロー
- 著名な家族:グウィネス・パルトロー(娘)、ジェイク・パルトロー(息子)、キャサリン・メーニッヒ(姪)
生い立ち・教育
ブライス・ダナー(Blythe Danner)は、1943年2月3日にアメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれました。父のハリー・アール・ダナーは銀行幹部で、母はキャサリン・ダナー。家族には、オペラ歌手で俳優の兄ハリー・ダナー、姉、そして母側の異母兄弟がいます。先祖はペンシルベニア・ダッチ系で、一部イングランド系とアイルランド系の血を引いています。母方の祖母はドイツからの移民で、父方の曽祖母の一人はバルバドス生まれのヨーロッパ系家系の出身。
ダナーは1960年に、ペンシルベニア州バックス郡ニュータウン近くのクエーカー系高校であるジョージ・スクールを卒業。その後、ニューヨーク州のバード大学に進学し、演劇を学びました。1965年に同大学を卒業し、この教育背景が後の演劇キャリアの基盤となりました。大学時代から演技への情熱を育まれ、卒業後すぐにプロの道へ進みました。
経歴
ダナーはバード大学を卒業した1965年から演劇界でご活躍を始めました。初期の役割として、1967年のミュージカル『Mata Hari』や1968年のオフ・ブロードウェイ公演『Summertree』に出演。ブロードウェイデビューは1968年の『Cyrano de Bergerac』で、1969年の『The Miser』ではシアター・ワールド賞を受賞しました。1970年の『Butterflies Are Free』では自由奔放な離婚女性を演じ、トニー賞最優秀助演女優賞(演劇部門)を受賞。この作品は1969年から1972年まで上演され、ダナーの名を広く知らしめました。
映画界へのデビューは1972年のミュージカル映画『1776』でマーサ・ジェファーソン役を務めました。同年、テレビシリーズ『Columbo』のエピソード「Étude in Black」でピーター・フォークとジョン・カサヴェテスと共演され、無垢な妻役を演じました。初の主演映画は同年の『To Kill a Clown』で、アラン・アルダと共演。TV番組では1976年の『M*A*S*H』のエピソード「The More I See You」でアラン・アルダのキャラクターの恋人役を演じました。また、1973年の『Adam’s Rib』ではケン・ハワードと共に弁護士アマンダ・ボナー役を13エピソード務めました。1974年にはTV映画『F. Scott Fitzgerald and ‘The Last of the Belles’』でゼルダ・フィッツジェラルド役を、『Lovin’ Molly』で主人公を演じました。1976年のSF映画『Futureworld』ではピーター・フォンダと共演し、サターン賞最優秀女優賞を受賞。
1980年代に入り、1982年のテレビ映画『Inside the Third Reich』でアルベルト・シュペーアの妻役を演じました。1986年の『Brighton Beach Memoirs』ではニール・サイモンのセミーオートバイオグラフィカル作品でユダヤ人母親役を務めました。ウディ・アレン監督作品に複数回ご出演され、『Another Woman』(1988年)、『Alice』(1990年)、『Husbands and Wives』(1992年)で重要な役割を果たしました。パット・コンロイの小説を基にした『The Great Santini』(1979年)と『The Prince of Tides』(1991年)でも印象的な演技を披露。また、アン・タイラーの小説適応のテレビ映画『Saint Maybe』と『Back When We Were Grownups』(2004年)にも出演しました。
2000年代には大ヒットコメディ『Meet the Parents』(2000年)でロバート・デ・ニーロと共演し、ディナ・バーンズ役を演じました。この役は続編の『Meet the Fockers』(2004年)、『Little Fockers』(2010年)でも継続し、2026年公開予定の第4作『Focker In-Law』にも参加が発表されています。他の注目作として、『To Wong Foo, Thanks for Everything! Julie Newmar』(1995年)、『The X-Files』(1998年)、『Forces of Nature』(1999年)、『The Love Letter』(1999年)、『The Last Kiss』(2006年)、『Paul』(2011年)、『Hello I Must Be Going』(2012年)、『I’ll See You in My Dreams』(2015年)、『What They Had』(2018年)などが挙げられます。声優としても、宮崎駿監督の『Howl’s Moving Castle』(2004年、英語版)でマダム・スリマン役を務めました。
TV分野では、『Will & Grace』(2001-2006年、2018-2020年)でマリリン・トルーマン役を繰り返し演じ、プライムタイム・エミー賞最優秀ゲスト女優(コメディシリーズ)部門に2度ノミネートされました。『Huff』(2004-2006年)ではイジー・ハフストット役でプライムタイム・エミー賞最優秀助演女優(ドラマシリーズ)部門を2005年と2006年に2年連続で受賞。2005年には『Will & Grace』、『Huff』、『Back When We Were Grownups』で3つのエミー賞にノミネートされ、『Huff』で勝利しました。他のTV作品として、『We Were the Mulvaneys』(2002年、エミー賞ノミネート)、『Presidio Med』(2002年)、『Medium』(2009年)、『Nurse Jackie』(2009年)、『Up All Night』(2011-2012年)、『The Slap』(2015年)、『Madoff』(2016年)、『Gypsy』(2017年)、『Patrick Melrose』(2018年)、『American Gods』(2021年)、『Ridley Jones』(2021-2023年、声優)などがあります。
舞台活動も活発で、ウィリアムズタウン・サマー・シアター・フェスティバルで25年以上定期的に公演され、理事を務めています。主な舞台作品には、『The Glass Menagerie』(1965年)、『Three Sisters』(1967年)、『Twelfth Night』(1972年)、『The Seagull』(1974年、1994年)、『Betrayal』(1980年)、『The Philadelphia Story』(1980-1981年)、『Blithe Spirit』(1987年)、『Much Ado About Nothing』(1988年)、『A Streetcar Named Desire』(1988年、ブランシュ・デュボワ役でトニー賞ノミネート)、『Love Letters』(1989年)、『Picnic』(1991年)、『Sylvia』(1995年)、『Moonlight』(1995-1996年)、『The Deep Blue Sea』(1998年)、『Follies』(2001年、トニー賞ノミネート)、『Carousel』(2002年)、『All About Eve』(2003年)、『Suddenly Last Summer』(2006年、ドラマ・デスク賞ノミネート)、『Nice Work If You Can Get It』(2012-2013年)、『The Country House』(2014年)があります。2015年にはアメリカン・シアター・ホール・オブ・フェームに殿堂入りされ、2006年にはブリン・モー・カレッジからキャサリン・ヘプバーン・メダルを受賞。
私生活
ダナーは1969年にプロデューサー兼監督のブルース・パルトローと結婚しました。パルトローは2002年に口腔がんのためお亡くなりになるまで連れ添われました。お二人の間には、女優のグウィネス・パルトローと監督のジェイク・パルトローの2人の子供がいます。姪は女優のキャサリン・モエニグで、母の異母兄弟ウィリアムの娘です。ダナーは娘のグウィネスと1992年のTV映画『Cruel Doubt』で共演し、2003年の『Sylvia』ではグウィネスが演じたシルビア・プラスの母オーレリア・プラス役を務めました。孫にはアップル・マーティンがいます。ダナーは超越瞑想を実践さしており、これを「とても役立ち、慰めになる」と考えています。
私生活以外では、30年以上にわたり環境問題にご関与され、リサイクルや保全活動を推進。INFORM, Inc.でご活動され、ニューヨーク環境擁護者協会の理事、環境メディア協会の理事を務め、2002年に同協会の継続貢献賞を受賞。2011年にはMoms Clean Air Forceに参加し、有毒大気汚染に対する親御の参加を呼びかけました。また、主人の口腔がん死去後、非営利団体Oral Cancer Foundationに関与し、2005年に早期発見のための公共サービス発表を撮影し、朝のトークショーや『People』誌のインタビューで啓発活動を行ないました。Oral Cancer Foundationが管理するBruce Paltrow Oral Cancer Fundは、口腔がん研究と治療の資金調達を目的とし、特に医療格差のあるコミュニティに焦点を当てています。また、骨粗鬆症治療薬デノスマブ(Prolia)のコマーシャルにご出演しました。2024年7月にはチャリティ活動中に体調不良となり病院に運ばれましたが、現在は回復されているようです。
出演作品
映画
公開年 | 邦題 | 役名 |
---|---|---|
2019 | ストレンジ・アフェア | ゲイル・アーウィン |
2019 | 明日の恋の見つけかた | ロニー・マイズナー |
2015 | タンブルダウン 彼の遺した恋の歌 | リンダ・ジャスパーセン |
2012 | 一枚のめぐり逢い | エリー・グリーン |
2011 | 宇宙人ポール | タラ・ウォルトン |
2011 | デタッチメント 優しい無関心 | パーキンス夫人 |
2011 | 運命の元カレ | アヴァ・ダーリング |
2010 | ミート・ザ・ペアレンツ3 | ディナ・バーンズ |
2008 | 旅するジーンズと19歳の旅立ち | グレタ |
2006 | ラストキス | アンナ |
2004 | ミート・ザ・ペアレンツ2 | ディナ・バーンズ |
2003 | シルヴィア | オーレリア・プラス |
2002 | Rain レイン | タクシーの女性 |
2000 | ミート・ザ・ペアレンツ | ディナ・バーンズ |
1999 | 姉のいた夏、いない夏。 | ゲイル |
1999 | 恋は嵐のように | ヴァージニア |
1999 | ラブレター 誰かが私に恋してる? | リリアン |
1998 | ノー・ルッキング・バック | クラウディアの母親 |
1998 | ボストン 愛の炎 | シリル・ダニング |
1998 | X-ファイル ザ・ムービー | ジャナ・キャシディ |
1997 | 生きていく理由 | ポーラ・トビアス |
1997 | 家族という名の他人 | レナ |
1997 | マッド・シティ | バンクス夫人 |
1995 | オマージュ/狂気が目を閉じるまで | キャサリン |
1995 | 3人のエンジェル | ベアトリス |
1994 | 南部の風・南軍兵士の妻が語る100年の物語 | ビアンカ |
1992 | 夫たち、妻たち | レインの親 |
1991 | サウス・キャロライナ 愛と追憶の彼方 | サリー |
1990 | ミスター&ミセス・ブリッジ | グレイス・バロン |
1990 | アリス | ドロシー |
1989 | 追跡TV スクープを狙え! | |
1988 | 私の中のもうひとりの私 | リディア |
1986 | 想い出のブライトン・ビーチ | ケイト |
1985 | ギルティ・コンサイエンス | ルイーズ |
1984 | ヘレン・ケラー | アン・サリヴァン |
1983 | 愛の7日間 | シェイラ・ベックウィズ |
1979 | パパ | リリアン |
1978 | 栄光のホームベース | カスター夫人 |
1978 | ハイスクール・レイプ | アン・オズボーン |
1976 | 未来世界 | トレイシー・バラード |
1972 | ドーベルマン犬の島 | リリー |
1972 | 刑事コロンボ/黒のエチュード | ジャニス |
TV
放映年 | 邦題 | 役名 |
---|---|---|
2004-2006 | HUFF〜ドクターは中年症候群 | イジー・ハフストッド |
2001-2006 | ふたりは友達? ウィル&グレイス | マリリン・トゥルーマン |
2021 | アメリカン・ゴッズ | デメテル |
2009 | ミディアム 霊能者アリソン・デュボア | ルイーズ |
2009 | ナース・ジャッキー | モーリーン・クーパー |
1976 | マッシュ |
レビュー 作品の感想や女優への思い