『ラスト・バレット』は、2019年公開のフランス・ウクライナ合作のアクションスリラー映画。ジャン・レノ演じる孤高の殺し屋ヘンリーが、山小屋で謎の女性を保護し、警察や追跡者との緊迫した展開が繰り広げられる。監督はフレデリック・プティジャン。91分の上映時間で、孤独と裏切りの物語を描く。
基本情報
- 邦題:ラスト・バレット
- 原題:Cold Blood Legacy/Cold Blood
- 公開年:2019年
- 製作国:ウクライナ、フランス
- 上映時間:91分
- ジャンル:サスペンス、アクション
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見どころ
『レオン』のジャン・レノが再び孤高の殺し屋を演じるサスペンス・アクション。雪山を舞台に秘密を抱えた女と彼女を追う謎の男、そして殺し屋と警察の攻防が展開。
女優の活躍
本作における主要な女優は、サラ・リンドが演じるメロディーである。サラ・リンドはカナダ出身の女優で、テレビドラマ『エジソンの光輝く未来』(2016年)や映画『ヒューマン・ハンター』(2017年)で知られている。本作では、謎めいた女性メロディーとして、物語の鍵を握る重要な役割を果たす。彼女の演技は、負傷しながらも強い意志を持つ女性像を表現し、ヘンリーとの心理的な駆け引きの中で緊張感を醸し出す。特に、限られた登場人物の中で、彼女の存在がストーリーの展開を大きく左右する点で、重要な貢献をしている。サマンサ・ボンドも脇役として出演し、ミステリアスな雰囲気を添えているが、物語での出番は限定的である。サラ・リンドの演技は、感情の抑制と爆発のバランスが求められる難しい役どころで、特に後半の展開での彼女の決断が観客に強い印象を与える。
女優の衣装・化粧・髪型
サラ・リンド演じるメロディーの衣装は、雪山での設定を反映し、実用的な防寒着が中心である。物語冒頭のスノーモービル事故後、彼女は厚手のジャケットやブーツといったアウトドアスタイルで登場するが、負傷による血痕や汚れが目立ち、過酷な状況を視覚的に強調している。山小屋でのシーンでは、簡素なセーターやズボンに変わり、化粧はほとんど施さず、すっぴんに近いナチュラルな顔立ちで、役柄のリアリティを追求している。髪型は、乱れたポニーテールや緩くまとめたスタイルで、事故後の混乱や弱った状態を表現。物語が進むにつれ、彼女の衣装や髪型は徐々に整っていくが、終始シンプルで派手さのないデザインが採用されており、ミステリアスかつ現実的なキャラクター像を補強している。サマンサ・ボンドの衣装については、情報が少なく詳細は不明だが、脇役としての登場では落ち着いたトーンの衣装が予想される。
あらすじ
ワシントン州の雪深い山奥で隠居生活を送る凄腕の殺し屋ヘンリー(ジャン・レノ)は、10か月前に大富豪ケスラーを暗殺した過去を持つ。ある冬の日、スノーモービルの事故で重傷を負った女性メロディー(サラ・リンド)を森の中で発見する。彼女は足を骨折し、体に木の破片が刺さった状態で、ヘンリーの山小屋に運ばれる。ヘンリーは不審に思いながらも彼女を介抱するが、彼女の所持品には身分証明書や携帯電話がなく、その目的に疑問を抱く。一方、ケスラーの暗殺事件を追う刑事カッパ(ジョー・アンダーソン)と、ケスラーの側近ブリグラー(デヴィッド・ジャーシー)が率いる謎の集団がヘンリーの居場所に迫る。メロディーがケスラーの娘チャーリーである可能性が浮上し、ヘンリーは彼女の真意を探りつつ、迫りくる脅威と対峙する。メロディーの血痕を追う狼や、ヘンリー自身の過去の罪が絡み合い、緊迫した状況の中で物語は意外な結末へと進む。
感想
ヘンリー(ジャン・レノ)は雪深いワシントンの荒野に住む殺し屋。少女メロディ(サラ・リンド)がスノーモービルで事故に遭い、彼女をヘンリーが見つけ、病院へ行くべきだとわかっていながらも彼女を引き取り、傷の手当てをします。ヘンリーは不審に思い、彼女がスノーモービルで何をしていたのか、どこへ行くのかと問い続けます。彼の仕事上、誰が自分を追ってくるかわからないので尋問が必要。そして、2人のやり取りや探り合いが映画のメイン・テーマに。展開が遅すぎてすぎて退屈気味ですが、ヘンリーが主導権を握りながらも意外な展開を待たせる間合いが上手い。これには二人の演技だけでなく、写真と撮影が素晴らしく後援していることも要因。
解説
『ラスト・バレット』は、ジャン・レノの代表作『レオン』(1994年)以来、25年ぶりに彼が殺し屋役を演じた作品として注目されましたが、批評家の評価は賛否両論があります。Filmarksでの平均スコアは2.6点(713件のレビュー)と、ストーリーの展開や整合性に不満を持つ声が散見されます。物語は、孤独な殺し屋の心理と、謎めいた女性との出会いを通じて展開するサスペンスを軸に、アクション要素を織り交ぜています。しかし、一部の批評では、プロットのつじつまが合わない点や、期待された『レオン』のような深みや情感が不足しているとの指摘がありました。
監督のフレデリック・プティジャンは、本作で脚本と監督を兼任し、雪に閉ざされた山奥の閉鎖的な空間を活かした緊張感の演出を試みている。ウクライナとフランスの合作という背景から、寒冷なロケーションとヨーロッパ的な映像美が特徴的だが、物語のテンポやキャラクターの掘り下げが十分でないとの意見もある。特に、ジャン・レノの殺し屋役は彼の持ち味である渋い魅力が発揮されているものの、ストーリーのB級感やプロモーションでの『レオン』との安易な比較が、観客の期待とのギャップを生んだ可能性がある。
キャスト
- ヘンリー:ジャン・レノ(凄腕の殺し屋。孤独な生活を送る)
- メロディー:サラ・リンド(スノーモービル事故で負傷した謎の女性)
- カッパ:ジョー・アンダーソン(ケスラー殺害事件を追う刑事)
- ブリグラー:デヴィッド・ジャーシー(ケスラーの側近)
- マルコム:イホル・チスケヴィッツ(ブリグラーの部下)
- ケスラー:フランソワ・ゲタリ(暗殺された大富豪)
- チャーリー:サマンサ・ボンド(ケスラーの娘、物語の鍵を握る)
登場人物 | 出演者 |
---|---|
ヘンリー | ジャン・レノ |
チャーリー | サラ・リンド |
カッパ | ジョー・アンダーソン |
マルコム | デヴィッド・ジャシ |
デイヴィス | イホル・チシュケヴィチ |
ブリグルール | フランソワ・ゲタリー |
レディ | サマンサ・ボンド |
ミスター・ケスラー | ジャン=リュック・オリビエ |
ケイティ | ラリサ・ルスナク |
ボブ | マキシム・メジェ |
歌手 | ハーモニー・ゴミラ |
ウェイトレス | カテリーナ・ブルシコワ |
宿のオーナー | ロブ・フェルドマン |
レンタルマン | フレデリック・プティジャン |
コーチ | ナルヴィン・フェルナンデス |
看護婦 | アンナ・ブトケビッチ |
運転手 | エフゲニー・グブレンコ |
掃除婦 | ハンナ・ハルニク |
ウェイトレス | マリア・イリナ |
バイカー | イゴール・ポリシュチュク |
警察官 | ユージン・キム |
警察官 | ヴィクトル・ジガロ |
ハスラー | ユリア・クニャグニツカ |
警備員 | リゴベール・ムステリエ |
セキュリティ | ボグダン・クリシュニー |
ケスラー・コーチ | イゴール・ラズンコ |
司祭 | オレクサンドル・パナシウク |
スタッフ
- 監督・脚本:フレデリック・プティジャン(『ターニング・タイド 希望の海』の原案・脚本を担当)
- 製作:EIGHT35、EASTWEST、GMT、WILD TRIBE、SEVEN 52、UKRAINIAN STATE FILM AGENCY
- 配給:クロックワークス(日本)
- 撮影:ティエリー・アルボガスト
- 音楽:ザヴィエ・ベルトゥロ
- 編集:イヴ・ベランジェ
担当 | 担当者 |
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衣装デザイン助手 | オルガ・オリナ |
『ラスト・バレット』は、ジャン・レノの渋い魅力と雪山の閉鎖的な舞台設定を活かしたサスペンスアクションであるが、ストーリーの深みや展開の整合性に欠ける部分が課題とされている。サラ・リンドの演技やメロディーのキャラクターは物語に緊張感を与えるが、全体としてはB級映画の枠を超えられなかったとの評価が多い。それでも、ジャン・レノのファンやコンパクトなスリラーを求める観客には一定の魅力がある作品と言える。
レビュー 作品の感想や女優への思い