レア・セドゥ（Léa Seydoux）は仏国の女優。パリ出身で、祖父は映画会社パテの会長、母親は慈善家。2006年に映画デビューし、『アデル、ブルーは熱い色』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞。ボンドガール役で世界的名声を獲得。
プロフィール
- レア・セドゥ（Léa Seydoux）
- 本名：Léa Hélène Seydoux-Fornier de Clausonne
- 生年月日：1985年7月1日（40歳）
- 出生地：仏国パリ
- 国籍：仏国
- 身長：168cm
- 職業：女優
- ジャンル：映画
- 活動期間：2006年～
生い立ち・教育
レア・エレーヌ・セドゥ＝フォルニエ・ド・クロゾンヌ（Léa Hélène Seydoux-Fornier de Clausonne）は、1985年7月1日、フランスのパリに生まれました。彼女の家系はフランスの文化・ビジネス界で名を馳せており、祖父ジェローム・セドゥは映画会社パテの会長、大叔父ニコラ・セドゥは同じく映画会社ゴーモンの会長兼CEOを務めるメディア界の重鎮です。母親ヴァレリー・シュルンベルジェは、石油開発会社シュルンベルジェの創設者の孫であり、セネガルを中心にアフリカの芸術家や子どもたちを支援する慈善団体「La Maison Rose」の代表として知られる慈善家です。また、母親はかつて女優としても活動しており、レアの姉は著名な女優を顧客とするスタイリストとして活躍しています。このような環境で育ったレアは、幼少期からアートや文化に親しみ、写真家のナン・ゴールディンやミュージシャンのルー・リード、ミック・ジャガー、そして靴デザイナーのクリスチャン・ルブタン（彼女の名付け親）といった著名人たちと交流がありました。
レアは内気な性格を克服するために演劇を始め、表現の世界に魅了されました。彼女は当初、オペラ歌手になることを夢見ていましたが、才能の限界を感じて断念。その後、女優の道を志すようになります。教育面では、父親の意向で英語を習得するため、6年間にわたりアメリカ・メリーランド州のサマーキャンプに参加しました。この経験により、彼女は流暢な英語を話すことができ、後のハリウッド進出に大いに役立ちました。しかし、彼女は家族の影響力を自身のキャリアに頼らず、独立して道を切り開いたと述べており、祖父や大叔父からの直接的な支援を受けたことはないと強調しています。
経歴
レア・セドゥの女優としてのキャリアは、2005年にフランスの歌手ラファエルのミュージックビデオへの出演から始まりました。翌2006年、映画『Mes Copines』でスクリーンデビューを果たします。2008年、クリストフ・オノレ監督の『美しいひと』でジュニー役を演じ、第34回セザール賞の有望新人女優賞にノミネートされ、早くも注目を集めました。この作品は、彼女の繊細かつ魅力的な演技が評価され、フランス映画界の次世代スターとして期待されるきっかけとなりました。
2009年、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』でハリウッドデビュー。ナチス占領下のパリを舞台にしたこの作品で、彼女は農家の娘シャーロット役を演じ、セリフは少ないながらも目の動きで感情を表現し、強い印象を残しました。2010年には『美しき棘』で再びセザール賞の有望新人女優賞にノミネートされ、着実にキャリアを積み上げます。2011年には『ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル』で金髪の暗殺者サビーヌ・モロー役を演じ、アクションシーンでの存在感を示しました。また、ウディ・アレン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』ではパリジェンヌ役で出演し、ロマンティックな魅力で観客を惹きつけました。
2012年、ブノワ・ジャコ監督の『マリー・アントワネットに別れをつげて』でマリー・アントワネットの朗読係シドニー役を演じ、第38回セザール賞の主演女優賞にノミネート。批評家から「年齢を超えた賢さを感じさせる眼差し」と絶賛されました。2013年には、アブデラティフ・ケシシュ監督の『アデル、ブルーは熱い色』でエマ役を演じ、第66回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。主演のアデル・エグザルホプロスとともに、史上初めて俳優としてパルム・ドールを受賞する快挙を成し遂げました。この作品での情熱的かつ繊細な演技は、彼女を国際的なスターへと押し上げました。
2014年、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』やクリストフ・ガンズ監督の『美女と野獣』に出演し、多彩な役柄で活躍。2015年には『007 スペクター』でボンドガール、マドレーヌ・スワン役に抜擢され、世界的知名度を獲得。2021年の『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも同役で再登場し、シリーズ史上初めて2作連続でボンドガールを演じた女優となりました。
近年では、ウェス・アンダーソン監督の『フレンチ・ディスパッチ』（2021年）、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』（2023年）、ミア・ハンセン＝ラヴ監督の『それでも私は生きていく』（2023年）、そして『デューン 砂の惑星PART2』（2024年）でレディ・フェンリング役を演じるなど、フランス映画とハリウッド大作の両方で活躍を続けています。彼女は5度のセザール賞ノミネート、2度のリュミエール賞受賞、BAFTAライジングスター賞ノミネートなど、数々の栄誉に輝き、2016年にはフランス政府から芸術文化勲章、2022年には国家功労勲章を受章しています。
私生活
レア・セドゥはプライベートについて多くを語らないことで知られていますが、2016年にパートナーであるアンドレ・メイヤーとの間に第一子となる息子ジョルジュの妊娠を発表し、2017年に出産しました。アンドレ・メイヤーはベンチャー企業「パロット」の共同創設者兼CEOで、やり手の実業家として知られています。しかし、レアはアンドレと正式に結婚していないとされており、プライバシーを重視する彼女らしい姿勢が見られます。
彼女の母親ヴァレリー・シュルンベルジェとの関係もユニークで、ヴァレリーはレアの女優としてのキャリアにほとんど関心を示さず、独自の世界観で生きているとレアは語っています。あるエピソードでは、レアが『ミッション：インポッシブル』の撮影について話した際、母親は「いつ帰ってくるの？」とそっけない返事をしたという逸話が残っています。このような家族の個性的な関係性も、レアの独立した性格を形成した一因かもしれません。
レアはファッション界でも注目を集め、姉のスタイリストとしての影響を受けつつ、自身のセンスでレッドカーペットやイベントで多様なスタイルを披露しています。クールでフェミニンな装いから、エッジの効いたファッションまで幅広く着こなす彼女は、ファッションアイコンとしても評価されています。
出演作品
以下はレア・セドゥの代表的な出演作品の一部です。
- 2006年：Mes Copines…映画デビュー作。初々しい演技で注目を集める。
- 2008年：美しいひと…ジュニー役でセザール賞有望新人女優賞にノミネート。フランス映画界での地位を確立。
- 2009年：イングロリアス・バスターズ…クエンティン・タランティーノ監督作でハリウッドデビュー。農家の娘役で印象的な演技。
- 2010年：美しき棘…再びセザール賞有望新人女優賞にノミネート。繊細な演技が話題に。
- 2011年：ミッション：インポッシブル／ゴースト・プロトコル…暗殺者サビーヌ・モロー役でアクションシーンに挑戦。国際的な知名度を獲得。
- 2011年：ミッドナイト・イン・パリ…ウディ・アレン監督作でパリジェンヌ役を好演。ロマンティックな魅力が光る。
- 2012年：マリー・アントワネットに別れをつげて…朗読係シドニー役でセザール賞主演女優賞ノミネート。深い感情表現が絶賛される。
- 2013年：アデル、ブルーは熱い色…エマ役でカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。情熱的かつ繊細な演技で世界的評価を得る。
- 2014年：美女と野獣…ベル役でフランス版の古典童話を現代的に演じる。セザール賞3部門ノミネート。
- 2014年：グランド・ブダペスト・ホテル…ウェス・アンダーソン監督作でメイド役を演じ、独特の世界観に貢献。
- 2015年：007 スペクター…ボンドガール、マドレーヌ・スワン役で世界的スターに。ミステリアスな魅力が話題。
- 2015年：ロブスター…ヨルゴス・ランティモス監督作で反逆者のリーダー役。カンヌ映画祭審査員賞受賞。
- 2021年：フレンチ・ディスパッチ…ウェス・アンダーソン監督作でクールな看守役を演じ、独特の存在感を発揮。
- 2021年：007 ノー・タイム・トゥ・ダイ…ボンドガールとして再登場。シリーズ初の2作連続出演を果たす。
- 2023年：それでも私は生きていく…ミア・ハンセン＝ラヴ監督作でシングルマザー役。カンヌ国際映画祭で高評価。
- 2023年：クライムズ・オブ・ザ・フューチャー…デヴィッド・クローネンバーグ監督のSF作品で新たな挑戦。
- 2024年：デューン 砂の惑星PART2…レディ・フェンリング役でハリウッド大作に出演。
総括
レア・セドゥは、フランス映画界とハリウッドの両方で活躍する稀有な女優です。名門家系に生まれながらも、自身の努力と才能でキャリアを築き上げ、繊細かつ力強い演技で観客を魅了し続けています。カンヌのパルム・ドール受賞やボンドガールとしての成功は、彼女の多才さと国際的な影響力を象徴しています。今後も、彼女の新たな挑戦と進化に注目が集まるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い