基本情報
- 邦題:隣人 The Neighbors
- 原題:이웃사람
- 英題:The Neighbors
- 公開年:2012年
- 上映時間:110分
- 製作国:韓国
キーワード
カササギ、連続殺人、バラバラ殺人、トランク、老朽化マンション、地下室、マンション管理室、婦人会長、ピザ宅配、連れ子、婦人総会、虚偽告訴罪、携帯電話
見どころ
- 「シュリ」「LOST」などに出演した演技派女優のキム・ユンジンが娘を殺された母親を好演。
- 団地の不気味な雰囲気や殺人事件で精神的に追い詰められる団地の人々を丁寧に描写。
女優の活躍
『隣人 The Neighbors』では、キム・ユンジンとキム・セロンが主要な女性キャストとして際立った演技を披露し、作品の感情的な深みと緊張感を高めています。
キム・ユンジン(ソン・ギョンヒ役)
キム・ユンジンは、少女ヨソンの継母ソン・ギョンヒを演じ、深い後悔と喪失感に苛まれる女性の心理を圧巻の演技で表現しました。彼女は韓国映画『シュリ』(1999年)でブレイクし、アメリカの人気ドラマ『LOST』で国際的な評価を得た実力派女優です。本作では、娘との関係がぎくしゃくしていた過去を背負い、娘の死後、幻覚に悩まされるギョンヒの複雑な感情を鬼気迫る演技で描き出します。特に、娘の亡魂と対峙するシーンでは、涙と絶望が交錯する表情が観客の心を強く打ち、物語の感情的な軸を支えました。彼女の演技は、韓国映画特有の生々しい心理描写を体現し、作品のサスペンスとドラマのバランスを強化しています。
キム・セロン(ウォン・ヨソン/ユ・スヨン役)
子役として活躍したキム・セロンは、本作で一人二役(殺害された少女ヨソンと別の少女スヨン)を演じ、驚異的な存在感を示しました。ヨソンとしては、亡魂として現れる神秘的かつ哀愁漂う姿を、繊細な表情で表現。スヨンとしては、活発で無垢な少女像を見事に演じ分け、物語に清新な息吹を加えました。彼女の演技は、成人俳優に引けを取らない重みを持ち、特にヨソンの亡魂が母ギョンヒと向き合う場面では、観客に強い印象を残します。キム・セロンの若くしての才能は、作品のホラー要素と家族ドラマの融合を際立たせ、ファンにとって忘れがたい名演となりました。
チャン・ヨンナム(ハ・テソン役)
脇役ながら、団地の婦人会長ハ・テソンを演じたチャン・ヨンナムも注目です。彼女は、好奇心旺盛でややお節介な住民の代表として、コミカルさと人間味を絶妙に表現。物語の緊張感を和らげる一方、住民間の疑心暗鬼を増幅する役割を果たしました。彼女の自然体な演技は、団地の日常感をリアルに描き、主要キャストの演技を引き立てました。
その他
他に可愛かったのはイ・サンヒ。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の衣装やメイクアップ、ヘアスタイルは、キャラクターの心理状態や団地の庶民的な雰囲気を反映し、リアリティを重視したデザインが特徴です。
キム・ユンジン(ソン・ギョンヒ)
ギョンヒの衣装は、シンプルで落ち着いた色調(グレーやベージュ)のカジュアルなトップスとパンツが中心。団地に住む一般的な主婦像を強調しつつ、喪失感を象徴する地味な色合いが選ばれました。メイクアップはほぼナチュラルで、目の下に薄いクマを施し、疲弊と悲しみを表現。ヘアスタイルは、肩にかかる長さのストレートヘアを無造作にまとめ、日常的で飾らない姿を演出。物語後半、犯人への怒りが高まるにつれ、髪が乱れるシーンが増え、彼女の感情の激しさを視覚的に補強しています。
キム・セロン(ウォン・ヨソン/ユ・スヨン)
ヨソンの亡魂としての登場では、白いワンピースと青白いメイクが施され、幽霊らしい不気味さと純粋さを両立。濡れた髪が顔にかかるスタイリングは、ホラー要素を強調します。一方、スヨンとしては、明るい色のTシャツやスカート、ポニーテールといった活発な少女らしいスタイルが採用され、ヨソンとの対比を明確にしました。メイクはスヨンではほぼすっぴんに近く、子どもの無垢さを際立たせています。
チャン・ヨンナム(ハ・テソン)
テソンの衣装は、派手すぎない花柄のブラウスやエプロン姿が特徴で、団地の婦人会長らしい親しみやすさを演出。メイクは控えめで、ヘアスタイルは短めのボブにパーマを施し、庶民的で活動的な印象を与えました。彼女の外見は、団地の日常的なコミュニティを象徴しています。
感想
犯行現場のマンション地下室が広すぎてびっくり。間取りや家賃、それに支払い能力など、いろいろと気になりました。犯人の表情が威嚇だったり怯えだったり、起伏を表現していて演技が上手でした。高利貸しを演じたマ・ドンソクの安定感・安心感。近所最強のサイコパスな犯人に、どのようにドンソクが立ち向かうかワクワクしました。一歩間違えたらコメディになりかねない対決ですから、ハラハラどきどき。
アン・ヒョクモ(前科者、高利貸し)、マ・ドンソクとファン・ジェヨン(警備員1号)、キム・ギチョンが 味を出していました 女優は女優で母娘とも良かったし、現実と幻覚のせめぎ合い として見ていくと楽しく見られました。
あらすじ
ソウル郊外のカンサン団地11棟201号に住む中学生ウォン・ヨソン(キム・セロン)は、塾帰りの夜、バスで帰宅中に姿を消し、翌日バラバラ遺体で発見されます。継母ソン・ギョンヒ(キム・ユンジン)は、ヨソンとの関係がうまくいっていなかった後悔と悲しみに苛まれ、娘の幻覚を見るようになります。犯人が捕まらないまま、10日ごとに同様の殺人事件が続き、団地の住民たちは恐怖と猜疑心に支配されます。そんな中、11棟102号に住むリュ・スンヒョク(キム・ソンギュン)が、被害者の遺体が入っていたカバンと同じものを購入したことから、住民の疑いの目が彼に集中。ギョンヒや貸金業者のアン・ヒョンモ(マ・ドンソク)、ピザ配達員のアン・サンユン(ト・ジハン)ら住民たちは、スンヒョクの行動を監視し始めます。一方、10棟302号に住む少女ユ・スヨン(キム・セロン)は、スンヒョクと偶然関わり、彼の異常性に気づき始めます。住民たちの疑念と恐怖が交錯する中、真相が徐々に明らかになり、怨念と正義が交差する衝撃の結末へと突き進みます。
解説
『隣人 The Neighbors』は、2012年に公開された韓国映画で、キム・フィ監督がカン・プルの同名漫画を原作に手掛けたサスペンススリラーです。本作の魅力は、団地という閉鎖的な空間を舞台に、日常に潜む恐怖と人間の心理を巧みに描き出した点にあります。韓国映画特有のスピーディーな展開と、復讐や猟奇的要素を織り交ぜたストーリー構成が、観客を引き込みます。物語は、犯人が早々に観客に明かされる構造を採用し、「いつバレるのか」という緊張感を軸に進行。ホラー要素としてヨソンの亡魂が登場する一方、住民たちの過干渉や疑心暗鬼がコミカルに描かれ、シリアスさと軽快さのバランスが絶妙です。特に、団地の住民たちが互いを監視する様子は、韓国社会の集団主義や近隣関係の濃密さを反映しており、普遍的な「隣人」という存在への不信感を浮き彫りにします。キャスト陣のアンサンブル演技も見どころで、キム・ユンジンの感情的な演技、キム・ソンギュンの不気味な怪演、マ・ドンソクのユーモラスかつ頼もしい存在感が物語を牽引。キム・セロンの一人二役は、作品に神秘性と純粋さを加え、観客に強い印象を与えます。
キャスト
- キム・ユンジン:ソン・ギョンヒ(ヨソンの継母)
- キム・セロン:ウォン・ヨソン/ユ・スヨン(被害者と別の少女)
- キム・ソンギュン:リュ・スンヒョク(11棟102号の住人)
- マ・ドンソク:アン・ヒョンモ(貸金業者)
- チャン・ヨンナム:ハ・テソン(婦人会長)
- ト・ジハン:アン・サンユン(ピザ配達員)
- チョン・ホジン:ピョ・ジョンロク(警備員)
- イム・ハリョン:キム・サンヨン(カバン店主人)
登場人物 | 出演者 |
---|---|
ソン・ギョンヒ、死んだ少女の継母 | キム・ユンジン |
アン・ヒョクモ(前科者、高利貸し) | マ・ドンソク |
ウォン・ヨソン(最初の被害者)/ユ・スヨン | キム・セロン |
ピョ・ジョンロク | チョン・ホジン |
ハ・テソン | チャン・ヨンナム |
キム・サンヨン | イム・ハリョン |
リュ・スンヒョク(漁船の乗組員) | キム・ソンギュン |
アン・サンユン | ド・ジハン |
キム・ジョングク、幽霊 | キム・ジョンテ |
キム・ホンジョン(アン・ヒョクモの叔父) | チョン・インギ |
ファン・ジェヨン(警備員1) | キム・ギチョン |
イ刑事 | チャ・ヒョヌ |
アン・ドンジュ(ピザ店主) | クァク・ミンソク |
ウォン・ジョンマン(ヨソンの父) | チャ・グァンス |
スタッフ
- 監督・脚色:キム・フィ
- 原作:カン・プル(漫画『隣人』)
- 撮影:チョン・ソンウク
- 照明:コ・ヨンジン
- 音楽:シン・イギョン
- 製作:LOTTE ENTERTAINMENT
総括
『隣人 The Neighbors』は、韓国映画の得意とする心理サスペンスとホラー要素を見事に融合させた作品。キム・ユンジンとキム・セロンの演技が物語の感情的な核となり、団地の閉鎖的な空間で繰り広げられる人間模様が観客を引き込みます。衣装やメイクはキャラクターの心情を反映し、リアリティを高めました。緊張感と人間ドラマが交錯する本作は、韓国サスペンスの魅力を存分に味わいたい方におすすめです。
レビュー 作品の感想や女優への思い