チャン・ツィイー(中国語:章子怡)は中国の女優で、独立心が強く意志の強いキャラクターを演じることで知られています。北京で生まれ育ったチャンは、1996年に中央戯劇学院に入学。同年、TV映画『星に願いを〜星星点灯』(1996年)で女優デビュー。チャン・イーモウ監督の『初恋のきた道』(1999年)でブレイクし、2000年の百花賞で主演女優賞を受賞した後、アン・リー監督の武侠映画『グリーン・デスティニー』(2000年)で国際的な名声を得ました。
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- 生年月日:1979年2月9日(46歳)
- 出生地:中国北京市
- 出身校:中央戯劇学院
- 職業:女優
- 活動期間:1995年~現在
- 配偶者:王峰 (2015年結婚、2023年離婚)
- 子供:2人
- 親族:張子南(兄)
- 政党:中国致公党
生い立ちと教育
生い立ち
チャン・ツィイーは1979年2月9日に中華人民共和国北京市で生まれました。父親は電信局職員、母親は幼稚園教諭という中流家庭で、経済的には安定していましたが、特別裕福ではありませんでした。彼女は幼少期、体が細く弱かったため、母親の勧めで8歳から舞踏を始めました。この経験が、後の女優としての身体表現や演技に大きな影響を与えることに。
11歳のとき、厳しい試験を突破し、北京舞踊大学附属中学に合格。舞踏の世界で才能を発揮し、16歳の時には全国青年ダンス・コンテストで優勝を果たしましたた。また、1994年には全国桃李杯舞踏コンクールで演技賞を受賞し、若くして注目を集めました。
舞踏を通じて培った規律正しさと表現力は、チャン・ツィイーのキャリアの基盤となった。彼女の生い立ちは、芸術への情熱と努力によって形成されました。北京という文化の中心地で育ったことも、彼女が早くから演劇や映画の世界に触れるきっかけとなっています。家族は彼女の芸術活動を支え、特に母親は娘の健康と才能育成に積極的に関与。こうした環境が、チャン・ツィイーを国際的な女優へと導く第一歩となりました。
教育
チャン・ツィイーの教育は、舞踏と演技を中心に展開します。中学校卒業後、彼女は中国で最も権威ある演劇学校の一つである中央戯劇学院(Central Academy of Drama)に入学。1996年、17歳のときに同学院の演劇表演系に合格し、正式に演技の道を歩み始めました。中央戯劇学院は、多くの著名な俳優や監督を輩出しており、チャン・ツィイーにとっても演技の基礎を固める重要な場となりました。
在学中、彼女は演技の理論や実践を学び、舞台や映像での表現力を磨きました。この時期、彼女は単発TVドラマ『星に願いを〜星星点灯』(1996年)に出演し、初めてカメラの前に立ちました。中央戯劇学院での厳格な訓練は、彼女の演技に深みと精度を与え、とくに感情表現や身体の動きに優れた才能を発揮。また、舞踏のバックグラウンドが演技に独自の優雅さをもたらし、後の武侠映画でのアクションシーンにも活かされました。
学院在学中、彼女はチャン・イーモウ監督に見出され、映画『初恋のきた道』(1999年)への出演が決定。この作品が彼女のキャリアの転機となり、学業と並行して女優としての活動が本格化。中央戯劇学院での教育は、彼女が国際舞台で活躍するための技術的・精神的な土台を築きました。
経歴
チャン・ツィイーの女優としての経歴は、1999年の『初恋のきた道』で始まります。この作品で、彼女は青年の母の少女時代を演じ、清純で情熱的な演技が評価され、第23届大衆映画百花奨で最優秀女優賞を受賞。映画自体もベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得し、彼女の名は一気に広まりました。
2000年、アン・リー(李安)監督の『グリーン・デスティニー』で、武侠映画のヒロイン・玉嬌龍を演じ、国際的な名声を得ました。この作品はアカデミー賞で4部門を受賞し、チャン・ツィイーは世界的に注目される存在に。彼女のアクションシーンと感情表現は高く評価され、香港電影金像奨や金馬奨で最優秀女主角のノミネートを受けました。この成功により、彼女はハリウッドへの道を切り開きました。
2001年、ハリウッド映画『ラッシュアワー2』で悪役を演じ、英語圏でのキャリアをスタート。2002年には『HERO(英雄)』、2004年には『LOVERS (十面埋伏)』で再びチャン・イーモウ監督と組み、武侠映画での地位を確立。とくに『LOVERS』では、盲目の舞姫役を演じるため、実際の盲目の少女と2か月間生活を共にするなど、役作りに徹底的に取り組みました。この作品で彼女は英国アカデミー賞(BAFTA)の最優秀女優賞にノミネート。
同2004年には、ホウ・ヨン監督のファミリー・サーガ『ジャスミンの花開く』にも出演し、上海で3世代にわたる娘と母親をジョアン・チェンとともに演じました。
2005年、ハリウッド映画『SAYURI』で主演を務め、全編英語での演技に挑戦。ゴールデン・グローブ賞やBAFTAの最優秀女優賞にノミネートされ、国際的な評価をさらに高めました。しかし、ハリウッドでの役柄が限定的と感じ、以降は中国映画に注力。
2008年の『花の生涯 梅蘭芳』や2013年の『グランド・マスター(一代宗師)』では、深い感情表現で批評家から絶賛され、とくに『グランド・マスター』では香港電影金像奨、金馬奨など12の最優秀女優賞を受賞。これは単一作品での最多受賞記録となりました。
2009年、米国のサイコ・スリラー映画『ホースメン』に主演。2013年にはフランスの芸術文化勲章(シュヴァリエ)を受賞し、女優としての地位を不動のものとしました。
2014年、ラクロの古典小説を原典に、舞台を1930年代の魔都上海に移して映画化した文芸ラブサスペンス『危険な関係』でチャン・ドンゴン、セシリア・チャン、ロン・ロンとら共演。
連続ドラマ『上陽賦 運命の王妃』(2021年)では初の主演を務め、幅広い役柄に挑戦しています。
私生活
チャン・ツィイーの私生活は、メディアの注目を集めてきました。2008年、彼女は中国のロック歌手ワン・フォン(汪峰)と交際を始め、2015年に結婚。ワン・フォンには前の結婚から2人の娘がおり、チャン・ツィイーとの関係は複雑な家族構成の中で築かれました。2015年12月、彼女は第一子となる娘を出産。妊娠中も映画祭やイベントに出席し、30週目の妊娠を公表するなど、積極的な姿勢を見せた。2020年1月には第二子となる男児を出産し、家族は4人に。
2023年10月、チャン・ツィイーとワン・フォンは8年間の結婚生活に終止符を打ち、離婚を発表。共同声明では、円満な別れであり、子供たちの養育には引き続き協力すると述べました。この離婚は中国のエンタメ界で大きな話題となりましたが、彼女はプライバシーを守りつつ、プロフェッショナルな活動を継続。
私生活では、2009年にプライベートな写真がネット上に流出し、スキャンダルとして報じられたことがあります。しかし、彼女はこの騒動を乗り越え、女優としてのキャリアに影響を与えませんでした。また、慈善活動にも積極的で、2008年の四川大地震では多額の寄付を行い、被災地支援に貢献。彼女の公私のバランスは、厳しいメディアの監視下でも安定していました。
出演作品
チャン・ツィイーの出演作品は、国内外で高い評価を受けています。以下は代表作の一部です。
- 初恋のきた道(1999年):チャン・イーモウ監督の感動作で、映画初主演。第23届大衆映画百花奨最優秀女優賞受賞。
- グリーン・デスティニー(2000年):アン・リー監督の武侠映画。世界的な成功を収め、アカデミー賞4部門受賞。
- ラッシュアワー2(2001年):ハリウッドデビュー作。ジャッキー・チェンと共演。
- HERO(2002年):チャン・イーモウ監督の武侠映画。ジェット・リー、トニー・レオンと共演。
- LOVERS(2004年):再びチャン・イーモウ監督と組み、盲目の舞姫役でBAFTAノミネート。
- 2046(2004年):ウォン・カーウァイ監督の文芸映画。舞小姐役で高い評価。
- SAYURI(2005年):ハリウッド映画で主演。ゴールデングローブ賞ノミネート。
- 花の生涯 梅蘭芳(2008年):京劇俳優の伝記映画で、華表奨受賞。
- グランド・マスター(2013年):ウォン・カーウァイ監督作。12の最優秀女優賞を受賞。
- 上陽賦(2021年):連続ドラマ初主演。歴史劇で新たな挑戦。
その他、『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008年)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)など、ハリウッド映画にも出演。また、プロデューサーや監督としても活動を広げています。
まとめ
チャン・ツィイーは、舞踏から始まり、中央戯劇学院での訓練を経て、国内外で成功を収めた女優です。『グリーン・デスティニー』や『SAYURI』で国際的な名声を得た彼女は、武侠映画から文芸作品まで幅広い役柄をこなしてきました。プライベートでは結婚、子育て、離婚を経験しながらも、プロフェッショナルとしての地位を維持。慈善活動やプロデューサー業にも力を入れ、映画界での影響力を拡大。彼女のキャリアは、中国映画のグローバル化を象徴する存在といえます。
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