『ハンズ・オブ・ストーン』は、パナマの伝説的ボクサー、ロベルト・デュランの波乱に満ちた人生を描く2016年の伝記映画。エドガー・ラミレスとロバート・デ・ニーロが共演し、名トレーナーとの絆や「ノー・マス事件」の真相を掘り下げる。
基本情報
- 邦題:ハンズ・オブ・ストーン
- 原題:Hands of Stone
- 公開年:2016年
- 製作国:米国、パナマ
- 上映時間:105分
見どころ
「石の拳」と呼ばれた伝説のボクサー、ロベルト・デュランをエドガー・ラミレスが好演。伝説のトレーナー、レイ・アーセルを名優、ロバート・デ・ニーロが演じる。
あらすじ
『ハンズ・オブ・ストーン』は、パナマのスラム街で生まれ育ったロベルト・デュラン(エドガー・ラミレス)が、ボクシングを通じて貧困から這い上がり、4階級制覇を成し遂げた実話を基にした伝記ドラマです。幼少期から養父カフランに生きる術を学び、地元のボクシングジムで才能を開花させたデュランは、16歳でプロデビューを果たします。アメリカの名トレーナー、レイ・アーセル(ロバート・デ・ニーロ)に見出され、彼の指導の下で世界チャンピオンを目指します。デュランは強烈なパンチ力から「石の拳(Hands of Stone)」と呼ばれ、1980年にシュガー・レイ・レナード(アッシャー)を破りウェルター級王座を獲得。しかし、その後のリターンマッチで第8ラウンドに突如試合を放棄した「ノー・マス事件」は、ボクシング史に大きな謎を残しました。本作は、デュランの栄光と挫折、そして彼を支えた家族やトレーナーとの絆を描きながら、この事件の背景に迫ります。
解説
『ハンズ・オブ・ストーン』は、ボクシング映画の枠を超え、貧困、家族、自己実現といったテーマを掘り下げた作品です。監督・脚本のジョナサン・ヤクボウィッツは、パナマ出身の視点からデュランの人生をリアルに再現し、彼の激しい闘志と人間的な脆さをバランスよく描いています。特に、レイ・アーセルとの師弟関係は、単なる指導者と選手の関係を超えた深い信頼と尊敬に基づくもので、物語の感動的な軸となっています。映画は、ボクシングシーンの迫力ある映像と、1970~80年代のパナマやアメリカの社会背景を丁寧に描くことで、観客に当時の雰囲気を感じさせます。「ノー・マス事件」を中心に据えつつ、デュランのプライドや葛藤、そして再起への闘志を強調し、単なるスポーツ映画ではなく、人生の再生と成長の物語として仕上げています。批評家からは、エドガー・ラミレスとロバート・デ・ニーロの演技が高く評価され、特にラミレスの肉体的な変貌とデュランの情熱的なキャラクター再現が称賛されました。
女優の活躍
本作における主要な女性キャラクターは、ロベルト・デュランの妻、フェリシダード・イグレシアスを演じたアナ・デ・アルマスです。彼女はデュランの人生において重要な役割を果たし、彼の感情的な支柱として描かれています。アナ・デ・アルマスは、若くして注目を集めていた時期にこの役を演じ、情熱的かつ芯の強い女性像を見事に表現しました。フェリシダードは、デュランの成功と挫折を共に経験し、彼の激しい性格や人生の浮き沈みに寄り添う存在として、物語に深みを加えています。彼女の演技は、感情的なシーンでの繊細さと、パナマの文化を反映した力強さが融合しており、観客に強い印象を与えます。また、ジャーニー・スモレット=ベルも脇役として登場し、物語に彩りを添えていますが、アナ・デ・アルマスの存在感が特に際立っています。
女優の衣装・化粧・髪型
アナ・デ・アルマス演じるフェリシダードの衣装は、1970~80年代のパナマの文化と時代背景を反映しています。彼女の衣装は、シンプルながらも鮮やかな色彩を取り入れたドレスやカジュアルな装いが多く、パナマの庶民的な生活感と女性らしさを表現しています。例えば、日常シーンでは花柄のワンピースや明るい色のブラウスが登場し、デュランの試合観戦時には少しフォーマルなドレスを着用するなど、シーンに応じた変化がみられます。化粧はナチュラルで、フェリシダードの若々しさと自然な美しさを強調。リップやチークに暖色系を用いることで、ラテン系の温かみのある雰囲気を演出しています。髪型は、時代に合わせてルーズなウェーブやポニーテールが多く、動きのあるスタイルで彼女の活発な性格を表現。特別な場面では、髪をアップにしてエレガントさを加えるなど、細かな工夫が施されています。これらの要素は、フェリシダードのキャラクターを視覚的に補強し、物語のリアリティを高めています。
キャスト
- ロベルト・デュラン:エドガー・ラミレス – パナマの伝説的ボクサー。情熱的で激しい性格を体現。
- レイ・アーセル:ロバート・デ・ニーロ – デュランのトレーナー。経験豊富で冷静な指導者。
- シュガー・レイ・レナード:アッシャー(アッシャー・レイモンドⅣ) – デュランのライバル。歌手としても知られるアッシャーが演じる。
- フェリシダード・イグレシアス:アナ・デ・アルマス – デュランの妻。家族を支える強い女性。
- カフラン:ルーベン・ブラデス – デュランの養父。人生の初期指導者。
- ネストール・“プロモ”・キノネス:ペドロ・“ブドゥ”・ペレス – デュランの初代コーチ。
- ステファニー・アーセル:エレン・バーキン – レイ・アーセルの妻。
- フランキー・カルボ:ジョン・タートゥーロ – マフィアの人物。レイの過去に関わる。
- ジャーニー・スモレット=ベル:脇役として登場。
スタッフ
- 監督・脚本:ジョナサン・ヤクボウィッツ – 『ベネズエラ・サバイバル』の監督。パナマ出身の視点で本作を制作。
- 製作総指揮:ジェフ・ベタンコート – 『呪怨 パンデミック』など。
- 音楽:アンジェロ・ミリ – 『7つの贈り物』で知られる作曲家。劇中の緊張感と感情を高める。
- 編集:イーサン・マニキス – 『マチェーテ』など。ダイナミックなボクシングシーンを構築。
- 撮影:ミゲル・ヨアン・リトレ – 時代感と臨場感を捉えた映像を提供。
- 製作会社:The Weinstein Company – 2016年カンヌ映画祭でプレミア上映。
総括
『ハンズ・オブ・ストーン』は、ボクシングの激しさと人間ドラマの深みを融合させた作品です。エドガー・ラミレスとロバート・デ・ニーロの迫真の演技、アナ・デ・アルマスの感情的な存在感が、物語を豊かにしています。衣装や化粧、髪型は時代と文化を反映し、視覚的なリアリティを高めています。ジョナサン・ヤクボウィッツの監督・脚本により、デュランの人生と「ノー・マス事件」の真相が感動的に描かれ、スポーツ映画ファンだけでなく、広く人間ドラマを愛する観客にもおすすめの作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い