『ヴューダ・ネグラ 黒蜘蛛の企み』(原題:La viuda negra)は、2017年のパトライクス事件を基にしたスペインの犯罪ドラマ映画。監督はカルロス・セデス。イバナ・バケーロ、トリスタン・ウジョア、カルメン・マチが出演。夫の刺殺事件を巡る若い未亡人の二重生活と真相が描かれ、2025年5月30日にNetflixで公開されました。スリリングな展開が魅力です。
基本情報
- 邦題:ヴューダ・ネグラ 黒蜘蛛の企み
- 原題:La viuda negra
- 英題:A Widow’s Game
- 公開年:2025年
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あらすじ
2017年8月、スペイン・バレンシアのパトライクス地区の駐車場で、エンジニアのアントニオ・ナバロ・セルダンが刺殺された遺体が発見されます。7回刺された彼の死は、情熱的な犯罪を思わせるものでした。地元警察の殺人課は、ベテラン捜査官をリーダーに据え、迅速な捜査を開始します。捜査の過程で、被害者の妻である若い看護師マヘ(イバナ・バケーロ)が容疑者として浮上します。結婚して1年未満の彼女は、穏やかで愛情深い未亡人としての顔を持ちながら、裏では同僚で恋人のサルバ・ロドリゴと共謀し、夫の殺害に関与していることが明らかになります。物語は、マヘの完璧な仮面が剥がれ、彼女の二重生活と犯罪の動機が暴かれる過程をスリリングに描きます。実話を基にしたこの作品は、欲望、裏切り、復讐の複雑な人間ドラマを浮き彫りにします。
女優の活躍
『ヴューダ・ネグラ 黒蜘蛛の企み』の主演を務めるイバナ・バケーロは、マヘ役で圧倒的な存在感を発揮しています。バケーロは、ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』(2006年)で幼い少女役を演じ、国際的に注目を集めた女優です。本作では、表面上は純粋で悲嘆に暮れる未亡人でありながら、裏では冷酷な計画を進める複雑なキャラクターを巧みに演じ分けています。彼女の繊細な表情と感情の揺れは、観客にマヘの内面の葛藤と二重性を強く印象づけます。特に、捜査が進むにつれて追い詰められるシーンでは、感情の爆発と抑制のバランスが見事で、批評家からも高い評価を受けています。
カルメン・マチも重要な役どころで出演し、ベテラン女優としての実力を発揮しています。マチはスペイン映画界で長年活躍し、コメディからドラマまで幅広い役柄をこなす名優として知られています。本作では、捜査を進める警察側や事件に関わる周辺人物として登場し、物語に深みを与えています。彼女の落ち着いた演技は、バケーロの激しい感情表現と対比を成し、作品全体のバランスを整えています。両女優の掛け合いは、緊張感とドラマ性を高める重要な要素となっています。
解説
『ヴューダ・ネグラ 黒蜘蛛の企み』は、2017年にスペインを震撼させたパトライクス事件を基にした犯罪ドラマ。この事件は、被害者の妻とその恋人が共謀して殺害を実行したことで、メディアで大きく取り上げられました。映画は、実話を基にしつつも、フィクションとしての脚色を加え、観客を引き込むサスペンスフルな物語に仕上げています。監督のカルロス・セデスは、スペインの人気ドラマ番組『グラン・ホテル』や『ベルベット』で知られ、緻密なストーリーテリングとキャラクターの心理描写に定評があります。本作でも、彼の得意とする人間関係の複雑さと緊張感が見事に表現されています。
物語の中心となるのは、マヘの二重生活とその動機。彼女は社会的に「完璧な妻」としての顔を持ちながら、裏では別の人生を生きており、このギャップが物語の核となっています。映画は、単なる犯罪ミステリーに留まらず、愛、嫉妬、欲望といった人間の暗部を探求します。また、スペイン社会における女性の役割や、表面的な完璧さを求めるプレッシャーについても暗に触れており、観客に深い考察を促します。
映像面では、撮影監督ダニエル・ソサによるバレンシアの街並みや駐車場の暗い雰囲気を用いたビジュアルが、物語の不穏なトーンを強調しています。特に、事件の舞台となる駐車場のシーンは、閉鎖的で圧迫感のある空間として描かれ、観客に緊張感を与えます。音楽もサスペンスを高める重要な要素となっており、劇中の感情的なピークを効果的に引き立てています。
本作は、Netflixのグローバル配信により、スペインだけでなく世界中で注目を集めています。実話を基にした犯罪ドラマは、近年のストリーミング・プラットフォームで人気のジャンルであり、『ザ・クラウン』や『マインドハンター』といった作品と同様に、史実とフィクションの融合が観客を引きつけます。公開日である2025年5月30日は、Netflixの新作ラインナップの中でも特に期待される作品として話題となりました。
キャスト
- イバナ・バケーロ(マヘ役):若い未亡人で事件の中心人物。『パンズ・ラビリンス』で知られる実力派女優。
- トリスタン・ウジョア(サルバ・ロドリゴ役):マヘの恋人で共犯者。スペイン映画やドラマで活躍する俳優。
- カルメン・マチ:捜査側または事件の鍵を握る人物として出演。スペインを代表するベテラン女優。
- マルタ・ベレンゲル:脇役として物語を支える。詳細な役柄は公開情報では不明だが、重要な存在感を示す。
スタッフ
- 監督:カルロス・セデス…スペインのドラマや映画で実績のある監督。緻密な演出が特徴。
- 撮影監督:ダニエル・ソサ…バレンシアの街を活かした映像美で、作品の緊張感を高める。
- 製作:バンブー・プロダクションズ…スペインの有力な製作会社で、質の高いドラマや映画を多数手掛ける。
- 配信:Netflix…2025年5月30日に世界同時配信。
総括
『ヴューダ・ネグラ 黒蜘蛛の企み』は、実話を基にしたスリリングな犯罪ドラマとして、観客に強い印象を与える作品です。イバナ・バケーロとカルメン・マチの演技が光り、カルロス・セデスの演出が物語に深みを与えています。欲望と裏切りが交錯するストーリーは、単なるミステリーを超え、人間の複雑な心理を描き出します。Netflixでの配信により、幅広い観客にアクセス可能な本作は、2025年の注目作の一つとして、犯罪ドラマファン必見の作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い