『ペイバック』(原題:PAYBACK)は、1999年公開の米国ネオ・ノワール・アクション映画。メル・ギブソン主演、ブライアン・ヘルゲランド監督。裏切られた強盗ポーターが7万ドルを取り戻す復讐劇。リチャード・スタークの小説『悪党パーカー/人狩り』を基に、渋い映像とハードボイルドな魅力で描く。
基本情報
- 邦題:ペイバック
- 原題:PAYBACK
- 公開年:1999年
- 上映時間:101分
- 製作国:米国
- ジャンル:アクション
- 配給:ワーナー・ブラザース映画
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あらすじ
ポーター(メル・ギブソン)は、相棒のヴァル・レズニック(グレッグ・ヘンリー)と妻のリン(デボラ・カーラ・アンガー)と共に、チャイニーズ・マフィアの裏金14万ドルを強奪する。しかし、ヴァルとリンは共謀し、ポーターを裏切り、彼の取り分7万ドルを奪うとともに銃撃し、瀕死の重傷を負わせる。奇跡的に回復したポーターは、5か月後、復讐と7万ドルの奪還を目指して街に戻る。ヴァルが所属する巨大な犯罪組織「アウトフィット」やチャイニーズ・マフィア、悪徳警官らを相手に、ポーターはマグナムを手に執拗に追い詰めていく。途中、コールガールのロージー(マリア・ベロ)やマフィアの女幹部パール(ルーシー・リュー)らが絡み、複雑な駆け引きが展開。ポーターは知略と暴力で敵を圧倒し、最終的に目的を達成するが、その過程は壮絶な戦いの連続である。
見どころ
「L.A.コンフィデンシャル」の脚本家、ブライアン・ヘルゲランドの初監督作。原作のハードボイルドな世界に、アクションをふんだんに盛り込んだ娯楽作に仕上げている。
ファム・ファタル
リン
主人公の妻リン・ポーター夫人をデボラ・カーラ・アンガーが演じました。中谷美紀をさらに野生にした強い感じで、喫煙している表情が素敵。
ルーシー・リュー
主人公の元妻パールをルーシー・リューが演じました。所持金をめぐって物語が展開します。主人公が復讐をするためにお金を盗んだ人物です。かなりサディスティックな振る舞いをして、濃いメイクと黒色のガーター・ストッキングが似合っています。いつかルーシー・リューに「キャットウーマン」の主演をしてほしい(^o^)
女優の活躍
本作では、マリア・ベロ、ルーシー・リュー、デボラ・カーラ・アンガーの3人の女優が重要な役割を果たす。マリア・ベロ演じるロージーは、ポーターの元恋人でコールガール。ポーターを裏切ったヴァルと関わりながらも、ポーターへの複雑な感情を抱き、彼を助ける場面で優しさと強さを発揮。ベロは、感情の揺れを繊細に表現し、アクション映画の中でも人間味あるキャラクターを際立たせた。ルーシー・リュー演じるパールは、チャイニーズ・マフィアのサディスティックな女幹部。短い出番ながら、強烈な個性と挑発的な態度で観客の注目を集める。リューは後の『キル・ビル』などでのアクション女優としての片鱗を見せ、存在感を放つ。デボラ・カーラ・アンガー演じるリンは、ポーターの妻であり裏切り者。薬物依存に苦しむ悲劇的な役どころで、ポーターとの対峙シーンでは緊張感を醸し出す。特に、ギブソンに殴られるシーンで実際に骨折したという逸話が、彼女の役への没入度を示す。3人とも、男社会の犯罪世界で異なる形で輝き、物語に深みを加えた。
女優の衣装・化粧・髪型
女優たちの衣装、化粧、髪型は、各キャラクターの個性と1990年代のノワール風スタイルを反映。マリア・ベロ(ロージー)は、シックなドレスやタイトなスカートを着用し、都会的なコールガールの雰囲気を演出。化粧はナチュラルだが、赤いリップで女性らしさを強調。髪は肩までのボブで、柔らかくウェーブがかかり、優しさとセクシーさを両立。ルーシー・リュー(パール)は、黒を基調としたレザーや光沢のあるタイトな衣装で、マフィアの女幹部らしい攻撃的な魅力を表現。濃いアイラインとスモーキーなアイシャドウで鋭い目元を際立たせ、髪はストレートのロングヘアで冷酷な印象を強化。デボラ・カーラ・アンガー(リン)は、くすんだ色のシンプルな服で、薬物依存者の憔悴した姿を表現。化粧は薄く、顔色の悪さが目立つよう計算され、髪は乱れたショートカットで不安定な精神状態を視覚化。これらのビジュアルは、各女優の役柄を強調し、ノワール映画の暗い美学に貢献している。
解説
『ペイバック』は、リチャード・スターク(ドナルド・E・ウェストレイクの筆名)の小説『悪党パーカー/人狩り』を原作とし、1967年の『ポイント・ブランク』(リー・マーヴィン主演)に続く2度目の映画化である。ネオ・ノワールとハードボイルド・アクションの融合が特徴で、1990年代後半のアクション映画に新たな息吹を与えた。ブライアン・ヘルゲランドの監督デビュー作であり、彼の脚本家としての実績(『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー賞受賞)が反映された緻密なストーリー展開が光る。しかし、製作過程ではヘルゲランドがメル・ギブソンやプロデューサーと対立し、降板。最終的にギブソンの意向で第3幕が変更され、クリス・クリストファソンが演じる新たな悪役が追加された。2006年にはヘルゲランドの意図を反映した『ペイバック ストレート・アップ』(ディレクターズカット版)が公開され、オリジナル版とは異なる結末やトーンが話題となった。映画の映像は彩度を抑えた青みがかった色調で、シカゴの暗い街並みを舞台に、ノワールらしい陰鬱な雰囲気を強調。メル・ギブソンのタフガイぶりと、脇を固める豪華キャスト(ジェームズ・コバーン、クリス・クリストファソンら)の存在感が、作品の魅力を高めている。
キャスト
登場人物 | 出演者 |
---|---|
ポーター | メル・ギブソン |
ヴァル・レスニック | グレッグ・ヘンリー |
ロージー | マリア・ベロ |
アーサー・ステグマン | デヴィッド・ペイマー |
ヒックス刑事 | ビル・デューク |
リン・ポーター夫人 | デボラ・カーラ・アンガー |
フィル | ジョン・グローバー |
カーター | ウィリアム・デヴェイン |
パール | ルーシー・リュー |
リアリー刑事 | ジャック・コンリー |
ブロンソン | クリス・クリストファーソン |
ジョニーの友人2 | マーク・アルファ |
ラジオマン | クワメ・アモアク |
マイケル、バーテンダー1号 | ジャスティン・アシュフォース |
フェアファックス ボディガード1号 | レン・バジェンスキー |
カウンターガール | ケイト・バデケ |
ブロンソンのヘビー #1 | プライス・カーソン |
チャウのチンピラ2号 | ロディ・チオン |
ブロンソンのヘビー#2 | アート・コーハン |
ムチ打ち少年 | アンドリュー・クーパー |
テーラー | ジェームズ・ドイター |
ファットボーイ | ドク・デュハメ |
ドクター | デビッド・デュナード |
ジョニーの友人1号 | ネイサン・エフロン |
レイザー・クリーン1号 | トム・エクイン |
バーテンダー2号 | ブライアン・ハインバーグ |
ヴァリックのマネージャー | アレックス・ヘンテロフ |
チャウのボディガード | ジェフ・イマダ |
チャウのチンピラ1号 | マイケル・パーク・イングラム |
チャウの運び屋 | ロバート・キム |
オークウッド・アームズ・マネージャー | ロバート・クルツ |
ブラックスーツ | ターク・ミュラー |
オークウッド・アームズ・タフ1号 | チェット・ニコルズ |
ドライバー | ジョージ・オマラ |
パンハンドラー | ヤセン・ペヤンコフ |
エドワード・ジョンソン | エド・ファイファー |
銀行員 | カトリーナ・フィリップス |
パンク・メッセンジャー | フレディ・ロドリゲス |
フェアファックス・ボディガード #2 | マイケル・スキュース |
オークウッド・アームズ・タフ2号 | アレックス・スクービー |
ジョニー・ブロンソン | トレバー・セントジョン |
バーの客 | リー・ステップ |
レイザー・クリーン #2 | ダニエル・パトリック・サリバン |
ウェイター | テッド・タスキー |
質屋 | マヌ・トゥポウ |
グレー | マーク・バン |
ギャング | 日比雄一 |
リングガール | クリスティン・アーテコーネル |
ー | ジェフリー・J・エアーズ |
バーの娼婦 | エリザベス・ベリッジ |
ミスター・オブワレント | マイケル・チン |
ジャスティン・フェアファックス | ジェームズ・コバーン |
銀行の常連客 | ジョー・デヴィート |
サム・ブルックス・ブラザーズ店員 | サマンサ・ゴールドバーグ |
スクールガール | ダニー・ジェイデン |
ハスケル | デヴィッド・ツイート |
ウェイトレス | ジョバンナ・ヴィティエロ |
スタッフ
監督 | ブライアン・ヘルゲランド |
脚本 | ブライアン・ヘルゲランド、テリー・ヘイズ |
衣装デザイン | ハ・グエン |
セット衣装 | シャーリーン・アマトー |
セット衣装 シカゴ | パトリック・コーフィールド |
衣装監督 | キンバリー・ゲンター・ダーキン |
セット衣装 シカゴ | グレッチェン・ゲイン |
衣装主任 | モリー・ミッチェル |
ヘアスタイル | ジェニファー・ベル |
メイクアップ | ミンディ・ホール |
メイクアップ部門責任者 | ジュリー・ヒューエット |
ヘアスタイル | メデューサ |
特殊メイク | マシュー・W・マングル |
メイクアップ | キャリー・ギボンズ |
ヘアスタイル | レイン・トルジンスキー |
まとめ
『ペイバック』は、メル・ギブソンの硬派な演技と豪華脇役陣、ヘルゲランドのスタイリッシュな演出が融合したネオ・ノワール傑作。女優たちの活躍とビジュアルも物語に彩りを添え、1990年代のアクション映画の名作として今なお愛されています。
レビュー 作品の感想や女優への思い