ミシシッピ州

ミシシッピ州は米国南東部に位置し、ミシシッピ川にちなむ農業と音楽の州。州都はジャクソン、人口約557万人。綿花栽培とブルース音楽が特徴で、歴史と文化が深い。とくにブルース音楽の発祥地として名高く、デルタ・ブルースはロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズといった伝説的ミュージシャンを輩出。

歴史
芸術
登場する映画
出身女優

歴史

ミシシッピ州の歴史は、先住アメリカンのチョクトー族やチカソー族に始まります。1540年、スペインの探検家エルナンド・デ・ソトがこの地を訪れ、ヨーロッパ人として初めてミシシッピ川を記録しました。1699年にフランスが植民地を設立し、1763年のパリ条約でイギリス領に、1783年のアメリカ独立戦争後に米国領となりました。1817年、20番目の州として連邦に加盟。19世紀前半、ミシシッピは綿花生産の中心地となり、「綿花王国」として繁栄しましたが、これは奴隷制度に大きく依存していました。南北戦争（1861-1865年）では南軍側に立ち、ビックスバーグの戦い（1863年）は戦争の転換点となりました。戦後の再建期は経済的困窮と人種差別の問題が続き、公民権運動の時代には激しい対立が見られました。1964年の「フリーダム・サマー」では、投票権を求めるアフリカ系アメリカ人の運動が全国的な注目を集め、悲劇的な事件も発生。20世紀後半以降、農業に加え、製造業や観光業が成長。カジノ産業も1990年代から州南部のガルフコーストで発展しました。現代では、ミシシッピ川の水運や再生可能エネルギーへの投資も進み、経済の多様化が図られています。しかし、貧困率や教育課題は依然として州の課題です。

芸術

ミシシッピ州は、アメリカの音楽と文学の宝庫として知られています。特にブルース音楽の発祥地として名高く、デルタ・ブルースはロバート・ジョンソンやマディ・ウォーターズといった伝説的ミュージシャンを輩出しました。クラークスデールのデルタ・ブルース博物館は、ブルースの歴史を後世に伝え、毎年開催される「ジャクソン・ブルース・フェスティバル」は世界中からファンを集めます。文学では、ウィリアム・フォークナー（1897-1962）が国際的な名声を持ち、彼の小説『響きと怒り』や『アブサロム、アブサロム！』はミシシッピの架空のヨクナパトーファ郡を舞台に、南部の複雑な歴史や人間関係を描きます。フォークナーの故郷オックスフォードには彼の記念館があり、文学巡礼の地となっています。また、ユードラ・ウェルティ（1909-2001）もミシシッピ出身の著名な作家で、短編小説や写真で南部の生活を繊細に描写しました。ビジュアルアートでは、ジャクソンのミシシッピ美術館が現代アートや地元アーティストの作品を展示し、州の文化的多様性を反映。民間工芸も盛んで、チョクトー族のバスケット織りやキルト作りは地域の伝統として受け継がれています。音楽、文学、工芸が融合したミシシッピの芸術は、アメリカ文化に深い影響を与えています。

登場する映画

ミシシッピ州の豊かな歴史や風景は、数多くの映画の舞台やロケ地として使われています。以下は代表的な作品です。

ハント・ロワイヤル（2022年）：当州がロケ地に。ミーナ・スヴァーリ、ミッキー・ローク、キャスパー・ヴァン・ディーン、ジェシカ・ベルキンらが出演するアクション・スリラー映画。
ビール・ストリートの恋人たち（2018年）：一部のシーンがミシシッピで撮影され、南部の雰囲気を背景に愛と不条理を描く。原作はジェームズ・ボールドウィンの小説。
LOGAN/ローガン（2017年）：ミュータントがほぼ絶滅した近未来、老いたローガンが少女を護る壮絶な旅を描く。ダフネ・キーンが演じる少女ラウラ（X-23）が物語の中心を担う女優として際立つ活躍を見せる。
デッドリー・アフェア（2017年）：オースティン・ハイスミス・ガルセス、ヴァレリー・アズリン、ルーク・エドワーズらが出演するスリラー映画。当州ガルフポートやビロッシーで撮影。
マッドバウンド哀しき友情（2017年）：第二次世界大戦後のミシシッピ農村を舞台に、黒人家族と白人家族の複雑な関係を描く。デルタ地帯の過酷な生活と人種問題がテーマ。
ヘルプ心がつなぐストーリー（2011年）：1960年代のジャクソンを舞台に、アフリカ系アメリカ人のメイドと白人女性作家の友情を描く。ミシシッピの人種問題と女性の絆を感動的に描写。
オー・ブラザー、どこにいるの？（2000年）：コーエン兄弟によるコメディで、1930年代のミシシッピを舞台に脱獄囚の冒険を描く。ブルース音楽や南部の風景を魅力的に描写。
ミシシッピ・バーニング（1988年）：公民権運動中の1964年を舞台に、ミシシッピで起きた実在の殺人事件を基にした映画。FBI捜査官が人種差別と闘う姿を描き、州の暗い歴史を浮き彫りに。

これらの映画は、ミシシッピの歴史的背景や文化的特徴を活かし、人種問題や地域の美しさを描き出しています。特に公民権運動や南部の農村風景は、物語の重要な要素として機能しています。

出身女優

ミシシッピ州は、数々の才能ある女優をハリウッドに送り出しています。以下は代表的な出身女優です。

オリヴィア・ホルト：1997年、テネシー州生まれ。7歳のとき家族とともにミシシッピ州ネシャバ郡へ移住し、約7年間暮らす。ディズニー・チャンネルのドラマ「キック・ビトー! マイ・ベスト・フレンド」でキム役を演じ、注目を集めた。その後も映画や音楽活動で活躍。
ジェイミー・リン・スピアーズ：1991年マコーム生まれ、ルイジアナ州ケントウッド育ち。ディズニー・チャンネルの『ゾーイ101』で主演を務め、若者向けドラマで人気を博しました。歌手としても活動し、ミシシッピの音楽文化の影響を受けています。
リアン・ライムス：1982年、ジャクソン生まれ。13歳でデビューし、グラミー賞最優秀新人賞を受賞。映画『コヨーテ・アグリー』やTV番組『ジーザス』の出演で知られる。
ジェシカ・アルバ：1981年にカリフォルニア州に生まれ、同州に定住するまでの間、ミシシッピ州ビロクシとテキサス州デル・リオを往復。19歳のときにTV番組「ダーク・エンジェル」の主演女優として脚光を浴び、ゴールデングローブ賞にノミネート。
ブリトニー・スピアーズ：1981年、マコーム生まれ。育ちはルイジアナ州ケントウッド。1990年代後期のポップスターとして『…Baby One More Time』で世界的ブレイク。『Crossroads』などの映画やテレビ出演も。
オプラ・ウィンフリー：1954年コスキアスコ生まれ。テレビ司会者、女優、プロデューサーとして世界的に有名。『カラーパープル』（1985年）で女優デビューし、アカデミー賞助演女優賞にノミネート。ミシシッピの貧困な環境で育ち、逆境を乗り越えた彼女のストーリーは多くの人に影響を与えました。
ダイアン・ラッド：1935年、メリディアン生まれ。『アリスはもうここには住んでいない』（1974年）や『ワイルド・アット・ハート』（1990年）でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。ミシシッピの南部らしい情熱的な演技が特徴です。
アン・ネイランド：1934年、ガルフポート生まれ。元ミス・テキサスで、TV番組や映画で端役を演じ、1957年のカルト映画「監獄ロック」でエルヴィス・プレスリーと共演。