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卑弥呼

「見どころ」にPR表現を含みます。
邪馬台国の卑弥呼を主人公に宗教的な勢力争いを通して日本の美意識を描く歴史。
映画『卑弥呼』は篠田正浩脚本・監督、富岡多恵子共同脚本による、1974年日本の歴史ファンタジー映画。主役ヒミコ(卑弥呼)を篠田の妻の岩下志麻が務め、草刈正雄、横山リエ、三国連太郎、加藤嘉、河原崎長一郎、河原崎健三、浜村純らが脇を固めます。主演の岩下志麻は白塗り眉なしで卑弥呼を熱演。アヴァンギャルドな作風が話題となり、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネートされました。
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卑弥呼

  • 原題:卑弥呼
  • 公開年:1974年
  • 製作国:日本国
  • 上映時間:100分
  • ロケ地:箸墓古墳(奈良県桜井市)
  • 撮影スタジオ:大映多摩川撮影所

予告編はこちら。

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見どころ

篠田正浩監督が妻の岩下志麻を主演に、耶馬台国に秘められたエロス、政治、宗教のタブーに挑んだ意欲作。外ロケは日本の原風景、室内ロケは70年代の舞台演劇。前衛的な作風でカンヌ国際映画祭でパルム・ドールにノミネート。

  • 不安定な日本の原風景を舞台装置で描く1970年代のシュールなアート映像
  • 男権政治のために神の声を聴いてあげる卑弥呼の苦悩と愛憎
  • 赤色襦袢に白色床丈の衣を羽織った邪馬台国官僚女性たちの衣装
  • 室内で赤色襦袢だけになった卑弥呼の衣装
  • 壁も柱も床も白 一色に統一された広い舞台部屋に、卑弥呼の着る赤色襦袢とのコントラスト
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あらすじ

神託により国の政策を決めていた卑弥呼は、たくましく成長して帰省した異母弟のタケヒコに欲望を燃え上がらせます。

恋人のいる彼はためらうも、やがて卑弥呼を受け入れてしまい、二人の関係を知った国の長オオキミは、卑弥呼の信託に疑問を抱くようになり…。

ファム・ファタル

卑弥呼は少女であり女性であり、祈祷師でもありました。この多彩な卑弥呼を岩下志麻は、白塗り眉なしで一身に表現し尽くしました。

エクスタシー状態

冒頭でも客の足止め用に恍惚とした場面がありますが、宗教儀式や政治への援用として本格的に卑弥呼がエクスタシー 状態に入るのは、映画開始31分頃。

白砂の上に土下座しながらしばらく。神の言葉を聞き取り、その言葉をミマキ・イクメ兄弟に伝えるまでの間、卑弥呼が一時的にエクスタシー状態に入ります。この状態に入るとき、彼女は土下座から横に寝そべり、さらに後ろへ寝返ります。そうかと思えば、正座に座り直して白砂を撫ではじめます。この一連の動作が猫の動きにとても似ていました。

岩下志麻をファム・ファタルとして眺めると…

岩下志麻をファム・ファタルとして眺めると、そこには米国の有名な映画キャラクターが…。岩下志麻は顔全体も、目や唇などのパーツも猫型。眺めれば眺めるほど、岩下志麻がファム・ファタルと確信する理由は、彼女はキャットウーマンだから。

オオキミ暗殺

オオキミは卑弥呼の言葉を疑っていました。そこで卑弥呼はナシメ(三国連太郎)にオオキミ暗殺を指示し、ナシメは無事に任務を遂行。暗殺されたオオキミの死体を前に、卑弥呼は一言。

神の言葉を疑う者は黄泉国へ向かうのです。

そのあとを継いだのがミマキで、やがて卑弥呼を祈祷師として使っていきます。やがて卑弥呼は、自分とアダヒメとを二股をかけたタケヒコを追放。

赤色襦袢で滝行水

邪馬台国の女性官僚たちが高い滝の下で 行水する場面。しばらくして、アダヒメがいないことに卑弥呼が気づきます。アダヒメは追放途中のタケヒコを追っていったのでした。

他方、卑弥呼は外出が減り、室内に留まるようになります。それとともに卑弥呼は、襦袢も着物もローブもすべて白色で統一するようになります。

卑弥呼を室内に閉じ込めることを画策したのはナシメ。卑弥呼を室内に留めることでナシメが自分の恋人にしたかったのです。彼の思いを卑弥呼は受け入れました。

高齢者に近いナシメと卑弥呼とが結託して、さらなる女性政権を確立していくと思いきや、卑弥呼はナシメの餌食に…。

感想

どんな服を着てもエロティックな衝撃を与えてくれる岩下志麻。このような思いを抱くようになったのは、かつて、とてもレアで視聴機会がなかった映画「卑弥呼」。2000年頃でしょうか、深夜テレビで見たように思います。オンデマンド生活にしてから、U-NEXTで見られました(^^)

2023年10月19日、再視聴。

撮影環境

久しぶりにオンデマンドで見直してみたら、舞台装置での撮影が多かったようですね。

卑弥呼の悶絶シーンや山上の芸能集団(国ツ神の集団)など、タケヒコが帰ってくる場面までの印象が強烈で、てつむきり山でのロケばかりかと記憶していましたが、記憶違い。

おまけに、意外とセリフの多い映画だということを忘れていました(脚本は富岡多恵子)。

ところで、弥生人の髪型を模して河原崎長一郎(ミマキ)がツインテールにしていて、なんとも可愛いような可笑しいような…。

好きな場面:卑弥呼が機を織る

Himiko (1974)
Shima Iwashita in Himiko (1974)

室内での映像で好きな場面は、アダヒメが糸を紡ぎ、卑弥呼が機を織るところ。そもそも、夜間に他人である女性同士が一緒に作業する状況に遭遇しにくいです。そのうえ、演じる横山リエと岩下志麻が色っぽくディープなメイクをしているので、もっと眺めていたいと思いました(^^)/

さらに、昼夜365日も多忙な卑弥呼が唯一くつろいでいる場面。

とか、好きな場面の理由をうだうだと書きましたけど、結局、アダヒメ(横山リエ)がタケヒコ(草刈正雄)を誘惑してしまい、卑弥呼(岩下志麻)は嫉妬に狂うのですが。

ところで、卑弥呼が使っている織機は龍村美術織物(京都市右京区西院)が提供したもの。公式サイトによると、同社は19世紀末に創業。緞帳・懸装品・壁貼地などの美術織物をあちこちに納品するかたわらで、重要文化財建造物保存修理工事も行なっています。

ただ、織機に関する情報は得られず。

トリビア

岩下志麻の出産

撮影当時の岩下志麻は出産を終えた直後。女王卑弥呼になり切るために眉毛を剃って演技に臨んだところ、帰宅したら赤ちゃんが不気味な形相をみて泣き叫んだそうです。

出典 岩下志麻「鏡の向こう側に」主婦と生活社、1990年、170~172頁)。

志麻が迫真の演技で迫る卑弥呼のまま自宅に駆け込んで赤ちゃんが驚いた、といったところです。

篠田正浩と岩下志麻の夫婦コンビ

篠田正浩と岩下志麻の夫婦コンビで12作目のコラボ。また、松村若代の引退作品ともなりました。

DVD・オンデマンド事情

長い間、この映画を再び見られることを願ってきました。なかなか衛星放送で公開されることもDVDで市販されることもありませんでした。最近ではオンデマンド視聴のできるサービスが増えたので嬉しいかぎり(^^) U-NEXTは痒いところに手が届く。

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一般的な感想

この作品をファンタジー・ドラマと表現するのは正確。また、実験的なアート映画と表現することも有効。実際、比較対象として大島渚をはじめとする篠田正浩の同時代人が思い浮かびますが、荒々しい映像スタイルと物語のエートスは、程度の差こそあれ、インドのターセム監督や、「The other side of the under」、「Glissements progressifs du plaisir」、「Out 1」、さまざまなホラー・エロスといったヨーロッパの現代作品、あるいはもっと最近のものでは、ジョエル・コーエンの「マクベスの悲劇」なども思い起こさせます。

同時に画面に映し出される俳優はごく少数で、彼らの動きや話し方は典型的に慎重かつじっくりとしたもので、台詞はかなり率直で詩的でもあります。広大で何もない屋外スペースの向こうには、美しいがスパルタンなセットがあり、色彩やセットピースは厳選されたものだけで、影ととくに配置された照明のコントラストが激しいです。衣装デザインも、同じように渋いか、凝った派手なかのどちらか。武満徹のスコアは控えめで、雰囲気のある演出ですが、型にはまらず衝撃的でもあります(伊藤悌二の「水車小屋」を思い起こさせます)。

これらすべてが、『卑弥呼』を、ある種のステレオタイプな米国人観客が「奇妙な外国映画」と一蹴するようなタイプの作品として描いています。しかし、それが悲しい間違いであることは承知。メディアが本来もっている幅広い可能性に心を開いている人たちにとって、この映画が代わりに見せてくれるのは、美しく、心を揺さぶり、素晴らしく創造的で、ドラマチックで、魅力的で、まったくもって絶妙なものなのです。最初から私は何を期待していいのかわかりませんでしたが、私の期待をはるかに、はるかに上回るものでした。

すべてのショットとシーンが注意深く緻密に計算され、異世界の美学に心を奪われつつも、筋書きの展開と雰囲気を丹念に魅せるように曲げられているため、テンポは忍耐強いです。篠田監督の驚くべき眼力と繊細な手腕、鈴木達央の荒々しくも鮮やかな撮影、そしてプロダクション・デザイン、美術監督、その他舞台裏の貢献によって、豪華な屋外ロケ地がこの世のものとは思えないほど遠く、空想的なものに仕上がっています。

几帳面に配置され、全体的に地味であるという演出の性質上、厳密に言えば、キャストがそれぞれのキャラクターでできることはある程度制限されていると言えますが、同じ意味で、物語が個別の強調されたシーンライティングで進むにつれて、俳優たちは各シークエンスに見事でありながらニュアンスに富んだ活力を注入する機会を得ています。目もくらむような複雑さが、振り付けられたあらゆるシーン、あらゆる小道具、セット、光、ディテールのデザインと配置、そして本作の基本的なルック&フィールを特徴づけており、酔わせるような幻想的な素晴らしさをさらに増幅。この100分間に、壁に掛けたり、テーブルの画集に載せるのにふさわしくないようなフレームはひとつもありません。

その工夫によって、物語はより豊かで呪術的なものになります。少しずつバラバラにされていく文章は比較的シンプルで、外見上は難解で気まぐれではあるのですが。物語は、自国と太陽神の絶対的な例外性を熱心に信じる人々の嫉妬深い思い上がりと、象徴の空虚な見せかけによって支配される多様な王国の物語。平和と秩序の偽りの表面性は、人間の自然な情熱と避けられない衝突が現状と優勢な迷信を崩壊させるにつれて砕け散ります。王国・帝国と人間の努力のもろさを描いたこの物語は、50年経った今、微妙でありながら明白なテーマをもっており、すべての装飾の燃料となる、力強く模範的で、壮大なシーンに肉付けされているため、驚異的な味わいがあります。篠田監督と脚本家・富岡多恵子は、私たちを知っている世界から遠くへいざないながら、その世界にしっかりと謙虚に留まらせ、呆れるほど夢中にさせるサーガを作り上げています。最初は不思議で奇妙に思えたものが、次第に不思議な光景や音に引き込まれていき、そのすべてが最高の技術と知性と配慮によって形作られています。岩下志麻への興味と義務教育程度の邪馬台国への関心だけで視聴し、映画に関しては何の予備知識もなく観ましたが、その素晴らしさに圧倒されました。他のタイトルを思い起こさせるような作品でありながら、紛れもなく独自の創造物です。この作品がすべての人にアピールするものではないことはよく理解できますが、映画が提供するすべてを受け入れられる人にとって、『卑弥呼』はもっと評価されるべき素晴らしい宝物だと断言します。心を開いて、素晴らしい旅に出る準備をしてください!

キャスト

Himiko (1974)
Himiko (1974)
登場人物 出演者
卑弥呼 岩下志麻
武彦 草刈正雄
アダヒメ 横山理恵
ミマキ 河原崎長一郎
生目 河原崎健三
オオキミ 加藤好
ナレーター 浜村淳

映画『卑弥呼』は松村若代の遺作。

スタッフ

おしゃれ系のスタッフも。

監督 篠田正浩
脚本 富岡多恵子、篠田正浩
メイクアップ 小林重夫、竹村浩三、高橋祥子
ヘア 山下かつら(山下裕義・片山盛牡)
衣装 京都衣裳(新井喜一・高倉陽子)
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